「出典明示&付加価値オン」でデキる女に
【河崎環さんの回答】
アイデアは盗んじゃダメです(笑)。ただ、ニュース記事や論文ならいざ知らず、企画書やクリエイティブな場での発言などで「それ聞いたこと・見たことある」がどこまで許されるのかは、グレーゾーンのまま。なぜなら、引き出しの多い一流の仕事人なら特に、世のさまざまなアイデア、これまでの文化的文脈などは自身の教養体系の中にビルトインされており、それらは自分のフィルターを通し、自分自身の言葉として発されているからです。
その昔、あるミュージシャンの歌詞にベテラン漫画家が「盗作だ」と物申す件がありました。ミュージシャンは「盗作だという意識はなかった。どこかで耳にし、心の中に残っていたフレーズだったのかもしれない」と謝罪していましたが、その通りなのだと思います。今の世の中、ひとは生きてきた道筋でさまざまなソースから情報やアイデアを学び、自分の中に溶け込ませてまた発信する。その時に、元アイデアの引用そのままになっていることの方が、クリエイティブな場面では問題なのです。あなたならではの言い換えや視点のシフト、他の何かと組み合わせるなどの付加価値をのせているかどうか、そこにあなたの仕事の価値があります。
「誰々さんにアイデアをいただきました」と出典を明らかにし、さらに必ず自分らしい付加価値をのせるのが、デキる女の仕事。また、誰の手柄ということにこだわらず、同僚みんなとチームで勝ちを取りに行くという発想も、とても大事ですよ。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。
文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行