構造でシンプルに捉える貸借対照表

貸借対照表は、図のように大きく5つに分けられます。

貸借対照表の5分類。

まずは「資産」、「負債」、「純資産」の3つに分けられ、さらに資産と負債がそれぞれ「流動」「固定」に分けられます。流動か固定かについては、「1年基準」、あるいは「正常営業循環基準」に当てはまるものが流動に分類されます。

1年基準とは、「1年以内に現金化できる(=資産)/現金で返済しなくてはならない(=負債)」かどうかのことを言います。

正常営業循環基準とは、「製品の生産・販売等の主たる営業活動に属しているかどうか」という基準のことを言います。たとえば、販売にこぎつけるまでに1年以上かかるような高額の製品、すなわち、1年以内に現金化されない製品であったとしても、それが主たる営業活動の対象であれば、流動資産に計上できるのです。

会社の安全性を判断するためには、この「1年基準」に基づいて、貸借対照表を見ていきます。

最初に見るべきは流動資産と流動負債の割合

1年基準で考えると、流動資産とは「1年以内に現金化できる資産」であり、流動負債とは「1年以内に現金で返済しなくてはならない負債」ということになります。

ではここで、クイズです。倒産の可能性が高いのは、次のうちどちらのケースでしょうか。

A)流動資産>流動負債
B)流動資産<流動負債

正解はB)の流動資産<流動負債です。

図を拡大
流動資産と流動負債の比較。右の流動資産<流動負債となるケースの方が、倒産の可能性が高いと言える。

図右側の、流動資産<流動負債のケース、すなわち、「1年以内に現金で返済しなくてはならない負債」の方が「1年以内に現金化できる資産」を上回っている場合というのは、一度に返済を請求された時に、返済しなくてはいけない現金が、1年以内に回収できる現金の額を上回っているということを意味します。これは、1年以内に(=短期的に)企業から現金がなくなる可能性があるということで、倒産の危険性が高いと言えます。

このように、貸借対照表を見て流動資産と流動負債の金額を比較すると、「企業がつぶれる可能性の高低」、すなわち企業の「安全性」が判断できます。(流動資産÷流動負債×100)という計算式で導き出されるパーセンテージは「流動比率」と呼ばれ、企業の短期的な支払能力を判断する指標として使われます。この流動比率を見る時に1点だけ注意すべきことがあります。それは流動資産の「中身」です。