「投資」で経済活動に参加できる

そして、ありがたい製品やサービスを発明し進化させるためには、ビジネスに携わる人達の必死の努力と共に、たくさんのお金が、そして進歩を実現させるための長い時間が必要であることは、皆さんにもお解りいただけるはずです。本物の「投資」とは、そうした私たちを豊かにしてくれるビジネスの中に、お金という養分を投入していく行為なのです。

前回の連載第6回「なぜ世間のお母さんは『投資は危ない!』と言って子供を育てるのか」(http://woman.president.jp/articles/-/837)に書いたフレーズを繰り返します。本物の「投資」とは、社会的需要に裏打ちされた事業・ビジネスが必要とする資金を融通する行為! 今度はきっと得心してもらえると思います。

ステキな製品やサービスに、たくさんの人達がありがたいと言ってお金を払うから、企業には売上が立って、積み上がった売上から利益が生まれる。ビジネスが新たな利益(富)を増やすことを成長と言います。そして富の増大の集積が、経済成長なのです。

そんな製品やサービスを購入するのに対して、お金を使ってその企業を直接支えることができるのが投資です。

本物の長期投資マネーは、もっと豊かな社会を実現する経済成長に資する、未来・次世代に向けた経済活動の糧であり、私たち生活者にとっての「長期投資」とは、自らがお金を通じて経済活動に参加することに他なりません。

僕は資産運用業の現場に携わる者として、「株式や債券の投資先企業に対して、世の中を驚かせて感動させたい!」と頑張っている、その事業に携わる人達の汗と涙と努力の結晶に思い馳せぬわけにはいきません。どうですか? 「投資」って、本物の「長期投資」って、とってもカッコ良くて気持ちいい行動だと思いませんか?

では、こうしたステキな「長期投資」はどこからリターンが得られるのか? どうして「長期投資」こそが、インフレに打ち勝つ行動規範なのか? 次回じっくり解説してまいりましょう!

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長。1987年明治大学商学部卒業後、現在の株式会社クレディセゾン入社。セゾングループで投資顧問事業を立ち上げ、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、株式会社クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年に株式会社セゾン投信を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現し、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。セゾン文化財団理事。NPO法人元気な日本をつくる会理事。著書に『投資信託はこうして買いなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)など。