「若く見られます」と自称する男性が本当に若いことは、まずない

――私も1つ、上から目線の話を思い出しました。先日、結婚して子どもができた後輩と会ったんですが、彼、奥さんについて「自分は我慢してやってる、妥協している」としきりに言うんです。「一瞬、相手がかわいいかなと思って結婚したが、結婚生活はこういうものじゃないはずだ」と思い始めてきた、気になる点、嫌な点がたくさんあって、我慢してると言うんですね。子どもができてみたら、子どもはものすごくかわいい。だけど、奥さんに対しては今も加点法じゃなくて、減点法で考えてしまうと言うんです。「オレは妥協してやってる」と。「オレは京大を出ているし、ルックスもすごくよくはないけれど、悪くはないはず。こんないい夫と付き合っているのに、うちの妻は出来が悪い」といったことを酔っ払って延々話すので、びっくりしてしまいました。

【川崎】捨てられそうな臭いがぷんぷんする!

――いや、むしろ奥さんがあなたを捨てるんじゃないか? と私も思ったんですけれども……。結婚すると、減点法で相手を見てしまいがちなものなのでしょうか?

【田中】今の話は、本当に含蓄のある話ですね。まず彼は、自分のことがよく分かっていないという大変な問題を抱えています。僕もそういう話を聞いたことがあるんですが、学歴は自分で得たものだし客観的な指標なのでまだいいとして、「オレは外見も悪くない」と言う人の外見がよかった試しがないんですよね。この人は何を言っているのかな、と思うことが非常に多くて……。男性って、女性に比べて美意識が低いというか、僕らくらいの世代だと洗顔して顔に化粧水もつけないような人が多いから。

――確かに。あと「若く見られます」って自分で言っている人は、あんまり若くないことが多いですよね。

【田中】そうなんですよ。そういう人に、僕が『<40男>はなぜ嫌われるか』でおすすめしたのは、「同窓会の写真を人に見せてください」という方法です。そのときに、「1人だけ若い人が混じっていますね」と言われるようなら、本当に若いです。

武蔵大学助教 田中俊之さん

僕もこの間、同窓会の写真を大学生に見せたんです。「見て、違和感がある(くらい若い)人はいる?」と聞いたら「いない」って言うんですよ。でも同窓会の会場では、みんなで「若いね~。変わってないね~」と言いあっているんです。だからズレてるんですよ。すごく若くもなけりゃ、キレイでもかっこよくもないんですよ、客観的に見たら。だからその人は大変だと思います。正確な自己把握ができないってことは、過ちを犯すわけですから。

【川崎】それでよく仕事ができてるなって気がしますよね。

――彼の名誉のために言っておくと、仕事はできる優秀な人なんですけどね……。ただちょっと自己認識が高すぎて、私も聞いていてびっくりしました。