活動の背景にある、ひとり親世帯の現状をみてみよう。ひとり親の世帯数は、母子家庭123.8万、父子家庭が22.3万と推定され、それぞれの平均年間就労収入は、母子家庭が181万円、父子家庭が360万円となっている。子供のいる世帯の平均年収658万円と比較すると、母子家庭の就労収入がその約3分の1と、極めて低い(平成23年度全国母子世帯等調査)。
ひとり親家庭の子供の貧困率は54.6%と、先進国で群を抜いて高く、生活意識状況をみても、「生活が苦しい」と答えた児童のいる世帯65.9%に比べ、母子世帯では84.8%と20ポイントも高い結果となっている(平成25年 国民生活基礎調査の概況)。
経済先進国の日本で、なぜこのような貧困があるのだろうか。
母子、父子家庭の就労率はそれぞれ80.6%と91.3%。OECDの「海外のひとり親家庭の就業率」平均の70.6%よりも高く、世界でもトップクラスの就労率だ。非就業が貧困の原因でないとすると、何によるものだろう。就労形態をみるとその理由の一端が分かる。
働いている母子家庭の就労形態は、正規雇用39%に対し、パート・アルバイト等の非正規雇用が47%。平均年間就労収入は正規雇用が270万円、非正規雇用は125万円だ。子供が増えるほど子育てにかかる時間が増え、時間的貧困と経済的貧困とが比例するという統計もある。子育てにかかる時間を捻出するのに、時間的制約の多い正規雇用より、非正規労働を選択せざるを得ない母親が多いのだ。
会見に同席した子供4人を育てている母親は言う。「子供の一人が発達障害で、働きたいがそうできない事情がある。せめて子供たちにお腹いっぱいご飯を食べさせたい」
このほか、認定NPO法人「フローレンス」代表理事の駒崎弘樹さん、特定非営利活動法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事長の赤石千衣子さん、NPO法人「タイガーマスク基金」代表理事の安藤哲也さんが登壇し、署名への賛同を呼びかけた。
政府も同様に動きを見せている。11月10日の衆院予算委員会で、塩崎恭久厚生労働相は、年末までに児童扶養手当の第2子以降の加算額拡充を含め検討したいと述べ、長年据え置かれてきた現行の支給額に着手する可能性を示した。
貧困のスパイラルを断ち切るためには、子供が生活を脅かされることなく、学ぶチャンスを失わない、教育からのアプローチが不可欠だ。その子供たちを育てる困窮する子育て世帯を救うことができれば、社会に将来還元されるものは少なくないだろう。一億総活躍を標榜する安倍政権が何に予算を投下するのか、行方を見ていきたい。
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