本業とは直結しないような仕事を、社内外から頼まれることはありませんか? 忙しい、面倒くさい、苦手……、そんな理由から断ることは簡単ですが、ちょっと待って。自分の存在が人の目に留まる仕事は、損得抜きで引き受けるべきなのです。どうしてでしょうか?

頼まれ仕事には無限のチャンスが潜んでいる

自分のことをたくさんの人に知ってもらえる仕事は、利益にかかわらず引き受けるのが得策です。たとえば、有志で勉強会を開くのでみんなの前でしゃべってほしい、新卒採用の代表として広報誌に署名原稿を書いてほしい……など。仕事が忙しいと、やることが増えたように感じて面倒な顔をしてしまったり、人前で話すのが苦手、文章を書くのが苦手……と、ついつい億劫になってしまったりしがちです。

自分の名前が表に出るような頼まれ仕事。目先の損得で断るのも、「私なんて、とてもとても……」と遠慮するのも、どちらももったいないことです。

しかし、このような仕事が来たときこそ、多くの人に自分をプロモーションできる、これは願ってもないチャンスです。勉強会で話すことで、別の企業の人事の目に留まり、ヘッドハンティングされる人もいます。広報誌に署名原稿を書くことで社内的に評価が高まり、注目される人もいます。

どこで誰が見ているかわからないのです。だから、自分を宣伝できる機会をいただいたときは、悩まず積極的にアクションを起こしましょう。

私は新聞や雑誌への寄稿を頼まれたり、講演会で話したりする仕事を「自分プロモーション」と位置付けています。原稿料はいただけますが、正直言って、本業の売り上げから比べたら微々たるもの。しかし、原稿を書くということは、その読者に自分のことを知ってもらえる、とても大きな効果だと思っています。

講演会やセミナーもしかり。みんなの前で話すためには、パワーポイントで資料を作ったり、移動のためにけっこうな時間をとられたりして、意外とエネルギーを使いますが、どうしても都合がつかない場合以外は、ほとんど断りません。また、講演やセミナーをすれば、私の仕事に興味を持ってくれる人が増えます。

つまり、これらのアクションが極めて効率的に、自分を世の中にプレゼンテーションできる営業活動になっているのです。実際に、「雑誌で拝読しました」「この前、講演会に参加させていただきました」といったことがきっかけで、いろいろな仕事が回ってくるケースも多いのです。

本業を発展させたいなら、自分をプロモーションするきっかけとなる仕事は、ぜひ積極的に引き受ける習慣をつけてください。これだけはお金に換算せず、本業と分けて考えることが大事。自分を売り出していく地道な行為が、結果的に自分の価値を高めることにつながるのです。

※本連載は書籍『30歳から自分を変える小さな習慣』(島村美由紀著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

島村美由紀(しまむら・みゆき)

商業コンサルタント。1956年、神奈川県川崎生まれ。雑誌・書籍の編集業務、シンクタンク研究員を経て、商業コンサルタントとして独立。株式会社ラスアソシエイツ設立、代表取締役就任。都市計画、商業施設計画、店舗業態開発などのコンセプトワークやトータルプロデュースを手掛け、大規模開発を成功させる。ラゾーナ川崎プラザ、羽田空港第1旅客ターミナルビル「スタースイーツ」など、実績は多岐にわたる。著書に『30歳から自分を変える小さな習慣 運を引き寄せる女性の6つの法則』(プレジデント社)(http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=1713)がある。