今月も、【自信】【勇気】【リラックス】の心理テストにトライしてもらいました。全体のスコアが悪く、何事にも自信や勇気を持てずに、常時緊張してリラックスできていないあなた――仕事帰りに「あの時の発言で相手を傷つけてしまった」とか「先月の失敗がトラウマになっていて、あの先輩との仕事は乗り気がしない」などと、何につけ意識が過去へと向かっていませんか? 過去に思いを巡らせても、ほとんどの場合、何の解決策も見つかりません。
アルフレッド・アドラーはこう言っています。
問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。
解決法と可能性に集中すべきなのだ
アドラーは1870年にオーストリアで生まれ、後にアメリカに移住し、1937年に永眠するまでたくさんの言葉を残し、現在では「自己啓発の父」と呼ばれる素晴らしい心理学者の1人です。欲求段階説で有名な心理学者のアブラハム・マズローも彼に影響を受けました。
でも当時、同時代に生きたフロイトなどに比べ、彼の心理学はあまり有名ではありませんでした。その理由の1つは、彼の心理学があまりにもシンプルで実用的だったからでしょう。
例えばフロイトが、「問題の原因は、あなたの幼少期における親の影響にある。あなたが悪いというよりは親が悪いのだ」と原因を過去へとさかのぼって究明するのに対して、アドラーは前向きに問題に向き合おうとしました。過去の事象を探るよりも、“今この瞬間の考え方と行動こそが一番大事な問題解決策だ”と断定したのです。「なぜ起きたのか?」という言葉を「では今、何から解決しようか?」に変えるべきだというわけです。現状の改善に集中すれば、解決法とその実行の可能性が見えてくる、と説いたのです。