住みたい街ランキングから読む、再開発エリアの賞味期限

街ではなく、住宅供給という観点ではどうだろう。これにもいくつか例がある。

例えば、横浜市みなとみらい。大手デベロッパー7社が2004年から行っている、住みたい街ランキングにみなとみらいが13位で初登場するのは2005年。だが、旬は短く、4年後の2009年に19位にランクインして以降は姿を現していない。

神奈川県横浜市みなとみらいの一画。交通網も整備され便利だが、情報発信に欠け、2010年以降はランキングに上がってこない。

みなとみらいは計画的につくられている街であり、住宅建設も同様にコントロールされている。この街で住宅が供給されたのは2003年1棟、2007年3棟(賃貸1棟を含む)、2008年2棟(賃貸1棟を含む)で、それ以降は、2017年に竣工が予定されるものが2棟あるだけで、その間は住宅の供給はない。

当然、住宅関連の情報発信はなく、家を買いたい人たちからは忘れられてしまっているようだ。

千葉県浦安市新浦安も同様で、2011年以降は既に建設用地が無くなっており、今後は新規供給は望めない。しかも、新浦安の場合には東日本大震災で大きな被害を受けており、地元では相変わらずの人気だとはいうものの、かつてのような全国区レベルの関心を回復するのは難しいだろう。現に前出の調査では2008年まではランクインしているが、それ以降は影も形もない。

2004年から始まった同ランキングにはこれ以外にも東京都のお台場、田園調布、下北沢など、登場しなくなった街がいくつかあり、人気は意外に容易に変遷することがよく分かる。再開発では住宅供給が無くなればあっという間に忘れられ、新しく情報を発信する街に関心が向く。街の賞味期限は意外に短いのである。