情報量で変わる街の人気とイメージ

再開発が行われる時にはさまざまな情報が発信され、人々にその街が変わることを訴える。しかし、その情報発信が終わってしまえば、その街は忘れ去られてしまうことも多いのである。

分かりやすい例は、日本銀行が一時期報告していた、大河ドラマによる経済波及効果である。2012年7月に「八重の桜」放映を受けて日銀福島支店が出した報告書には2000年から2010年までの大河ドラマの舞台となった各県の観光入込客数の動向が紹介されている。

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NHK大河ドラマ「篤姫」は2008年、「天地人」は2009年の放映。放映年の観光客の盛り上がりを境に、放映後の観光客の落ち込みが顕著な一例。「NHK大河ドラマ『八重の桜』の放映に伴う県内経済への波及効果」より抜粋。2012年7月、日本銀行福島支店調べ。

そこには「大河ドラマ放映年には殆どの地域で観光入込客数の増加を確認できる。一方で、放映年の翌年、翌々年にかけては、反動減がみられるケースも少なくない」とされている。実際、報告書内のグラフを見ると「篤姫」の鹿児島県、「天地人」の新潟県など翌年から落ち込む例も出ている。情報量が人気を左右しているのである。

2006年から、消費者が各地域に抱いているイメージ等を明らかにするために、ブランド総合研究所が行っている「地域ブランド調査」からも全く同じ結果が読み取れる。

2008年にはサミットが開催された北海道洞爺湖町が、2010年にはスカイツリー建設中の東京都墨田区や平城遷都1300年に関連してさまざまなイベントを開催した奈良県が人気順位を上げており、街のイメージは情報量に従って上がり、下がるのである。