水の都の“不便”を愉しむ
会場があるヴェネツィア本島内は、ご存知の通り、車やバイク、自転車などが入ることができず、基本的に歩くか、運河を船で移動するしか移動手段がありません。
道も運河も複雑に入り組み、あるところは細い迷路のように見通しが極端に悪く、移動に時間がかかります。あまり親切でない公式の地図を頼りつつ、通りの名前に目を凝らし、目印に乏しく探しにくい展示会場を毎回迷いながら探すのが恒例の鑑賞スタイルです。
バポレットと呼ばれる水上バスは、たくさんの路線がありますが、時間通りに運行していなかったり、ハイシーズンには満員で乗船どころか下船できなかったり!
ヴェネツィア以外の近隣の小さな島にも会場が点在しているため、目的の島へ移動しようにも、1時間に1往復の便さえも欠航していたなど、何度も来ていると、地元特有のマイペースな運航にも驚かなくなります。水上タクシーもありますが、値段が高く交渉力が試されるので、観光客には気軽に利用できる感じではありません。
一方で、この欠点ともいえる“徹底的な不便さ”が、結果的に長い年月を経てもビエンナーレの成功と成長を促している1つの要素とも考えられます。