賃貸派は老後資金が多めに必要

一方、“マイホームを買わない”という選択をした賃貸派のシングル女性はどうでしょうか。何度か賃貸住宅を住み替えて、一生、マイホームも住宅ローンも持たずにいくのも1つの選択肢です。現実としては、「お金がないから」「借金をしたくないから」「買うよりも借りる方がトクだと思うから」と、現在の収入から、金銭面の負担を重く感じている人が多いようです。

賃貸派は多少家賃が高くても好きな街に住めるし、苦しくなったら家賃を抑えるために、身軽に引っ越しもできます。けれども身軽に生きるのもそれなりの覚悟が必要です。住宅費が月収の3分の1を占めると考えると、やはり「家賃はもったいない」という気持ちからはずっと逃れることはできないでしょう。

そして賃貸派が最も心配するのは、「仕事を退職して収入がなくなったとき、家賃を払い続けられるかどうか」ということ。先ほど、購入派の人は返済しながら貯蓄が必要ということを書きましたが、賃貸派の人は購入派よりも多めに老後資金を見積もる必要があります。

結論として、自分への戒めも含めて、厳しいようですが、シングル女性が歳をとってもシングルで幸せに暮らしていくためには、やっぱりお金が必要なのです。アリとキリギリスではありませんが、ギリギリスにならないようにご注意……。

住まいに関しては、これだけシングル女性が増えると(同様にシングル男性も増加中)、将来は、シングル同士で助け合うことがあたりまえになり、気のあった同士で住むシェアハウスなど新しいスタイルの住まいがあちこちにできるかもしれません。しかし、基本的にシングルはどこまでいってもひとりです。今の環境でシングル女性の老後に当てはめると、購入派も賃貸派も、最後の最後の棲家は、誰かが看取ってくれる「老人施設」(できれば素敵なところ)への入居をめざすのがシングル女性の正しき道なのかも、と私はリアルに思っています。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。