家は買ったほうがいいのか、賃貸にしたほうがいいのか。住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営するMFS取締役COOの塩澤崇氏は「多くの人が気づいていないが、日本の住宅ローンは、『借りたら儲かる』おいしい仕組みになっている。家は早めに買っておいたほうがいい」という――。

※本稿は、塩澤崇『金利が上がっても、住宅ローンは「変動」で借りなさい 1時間でわかる「新時代のお金の常識」』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

電卓で計算する男と家のミニチュア
写真=iStock.com/kuppa_rock
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日本の住宅ローンは「借りたら儲かる」

今後、インフレとともに不動産価格が上がっていくことや、住宅ローンの実質負担が目減りすることを考えると、早めに家を購入しておくのが吉です。

しかも、多くの人が気づいていない耳よりな話があります。実は、日本の住宅ローンは、「借りたら儲かる」というおいしい仕組みになっているのです。「借金なのに儲かるなんてありえない」と思われるかもしれませんが、理由がありますので一つずつ解説していきますね。

ここでカギとなるのが、「住宅ローン減税」「団体信用生命保険」という2つのキーワードです。早速、住宅ローン減税からお伝えします。

住宅ローンを組んで家を買うと、「住宅ローン減税」という非常に効果の高い節税方法を使えるようになります。

この住宅ローン減税を使うことで、「住宅ローンを組んでいるだけで税金が戻ってくる」という嬉しい状態が、なんと最長13年間も続きます。賃貸に住んでいたら家賃をいくら払っても税金は戻ってきませんから、これも持ち家ならではのメリットといえますね。

住宅ローンの元本の0.7%が戻ってくる

では、そもそもなぜそのようなお得な仕組みがあるかというと、国は皆さんに家を買ってほしいからです。国土交通省のデータをみると、民間住宅投資がGDPに占める割合は3%ほどで必ずしも大きな割合ではないのですが、住宅購入は建設・不動産業・鉄鋼などの幅広い業種に好影響を与えることから、家を買う人が増えれば景気回復につながります。ゆえに、減税で税金をキャッシュバックすることで住宅購入を促しているのです。

また近年は地球温暖化への対策が重視されているので、「環境に優しい家」、つまり二酸化炭素の排出量が少ない住宅の減税額を大きくすることで、省エネ化を進めようとする狙いもあります。

では、住宅ローン減税がいくらかといいますと、次の3つの計算を行って、そのうちもっとも小さい金額が減税額になります。

① 所得税・住民税の支払額
② 年末時点の住宅ローン残高×0.7%
③ 借入上限額×0.7%

住宅ローン減税では大雑把に「元本の0.7%分の税金が戻ってくるんだな」と覚えていてください。

勘のよい方はもうすでにお気づきかと思いますが、0.7%は住宅ローン金利よりも大きな数字です。最近の変動金利は0.4%前後ですので、住宅ローン減税が適用される期間は住宅ローン金利を支払っているどころか、むしろ儲かっている状態なのです。住宅ローン減税がいかに強烈なインパクトがあるかおわかりいただけたでしょうか?