夢の記録、レンガの記憶。
今回注目すべき作家は、地元出身22歳で最年少のウンニクリシュナン・C氏。大学の卒業制作が芸術監督の目に留まり、その作品をもとに出展しました。彼の実家は南インドの農村部によくみられる、レンガを積み上げた簡素な家。そのレンガに、子どもの頃から直接絵を描いていたそうです。
今でも炊事の火力は炭に頼っている、という彼の実家周辺で信じられている迷信や、自分の身の回りの物事や夢日記を描いた素朴な作風が、一般の観客の人気を博しました。
また、アート関係者の間でも話題となり、アラブ首長国連邦で開催する展覧会「シャルジャ・ビエンナーレ」にも大抜擢。作家本人はつぶらな瞳の青年で、生まれて初めて海外へいくためにパスポートを取得したことを、はにかみながら話してくれました。まさに、期待の新人、シンデレラボーイの誕生です。