▼ベストセラーに惑わされない

先ほどは「友達がすすめる本を参考にしよう」と言いましたが、多くの人が読んでいるベストセラーについてはどうでしょう。私の答えは、「ベストセラーだからといって、必ずしも読む必要はない」です。時流をとらえたいという明確な目的があるなら読んでもかまいませんし、「周囲の人に一目置かれたい」と思うなら、話題になっている本に目を通すのもありかと思います。相手もそれを読んでいた場合、大いに話がはずみますから、コミュニケーションツールとしては有効です。

しかし、単に「大勢の人が読んでいるから」という理由だけで手を出すのはおすすめしません。

トマ・ピケティの『21世紀の資本』などがよい例ですが、自分の学びのステージに合わず、「流行っているけれど自分には読みこなせなかった」となってしまったら、時間とお金のムダになります。そんな間違いをおかさないよう、あくまでも本を買う基準は「自分がほんとうに読みたいかどうか」に置くべきです。「みんなと同じことをしなければ」と強迫観念にかられて読むような本は、ストレスの種にしかなりません。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
札幌医科大学医学部卒業。15万部以上配信のメルマガやSNSを駆使し精神医学や心理学の知識を日々発信。著書に『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)など。過去20年間の読書数は6000冊以上。

柳澤美帆=構成 いしまさみつ=イラスト