本を読んでも、いつの間にか内容を忘れてしまってはもったいない。「やり方さえわかれば、『記憶に残る深い読書』は誰にでもできる」と言う樺沢紫苑さんに、人生がうまく回りだす読書術を教わった。

私の本業は精神科医ですが、年に約3冊の本を書き、講演活動も行っています。そのうえで月に20~30冊の本を読む生活を約30年間続けています。こう言うと「ただの速読家ではないか」と思う人もいるでしょうが、私は速読や多読よりも「深読(しんどく)」が大切だと思っています。

いしまさみつ=イラスト

「深読」とは、本から学びや気づきを得て、自分の成長の糧にする読み方のことです。

しかし、時間をかけてじっくり本を読むこと=「深読」ではありません。内容を記憶し、人と議論できるくらいまで理解して、自分の生活に生かす。そこまで本を深く読み込むには、ちょっとしたコツが必要です。

私は精神科医として心理カウンセリングをしています。話をじっくり聞くと相手は満足しますが、本人が行動を変えない限り、問題は解決されません。読書も同じで、読んで満足するだけでは意味がありません。記憶に残る「深読」をし、本から得た知恵を活用し、現状を好転させるのが理想です。

そのためにやるべきことは3つあります。1つ目は「本選び」。自分と相性のいい本をいかに選ぶかを意識します。2つ目は「読み方」。インプットの方法を工夫して効率をあげます。そして3つ目。記憶の補強につながる「アウトプット」を実行します。この3つがそろって初めて、自分の血肉になる読書が可能になるのです。