まずは、「年金分割」の原則を4つ。

原則(1) 分割できるのは会社員と公務員の年金だけ

「年金分割」の対象になるのは、会社員の厚生年金と公務員の共済年金に限られます。厚生年金と共済年金は、「基礎年金」に「報酬比例部分」を上乗せする2階建ての仕組みですが、分割できるのはこの2階にあたる「報酬比例部分」だけ。夫が自営業の場合だと報酬比例部分がないので、「年金分割」はできません。

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結婚期間に応じた分だけ、最大50%まで分割する
原則(2) 分割するのは結婚期間の部分だけ

「夫の年金の半分をもらえる」と思っている人は多いのですが、分割の対象になるのは報酬比例部分のうち、結婚していた期間に対応する分だけです。たとえば、夫が22歳で会社員になって30歳で結婚、40歳で離婚した場合だと、分割するのは30歳から40歳の期間の分だけで、結婚前の期間と離婚後の期間は含まれません。また、分割できる年金は、その期間に対応する年金の2分の1が上限です。

原則(3) 分割した年金を受け取るのは65歳から

分割した年金は、本人が年金を受け取るとき(原則65歳から)に上乗せされます。離婚したらすぐにもらえるわけではないので、間違えないで。また、年金をもらうための年金受給資格期間(現在は25年。10年に短縮される予定)を本人が満たしていないと年金自体をもらえないし、分割した部分ももらえません。なお、元配偶者が死亡したり、自分が再婚したとしても、離婚時に分割した年金を受け取る権利はなくなりません。

原則(4) 請求期限は離婚してから2年以内

年金分割は、離婚した日から2年以内に年金事務所で手続きをしないと受け取れません。自動的にもらえるわけではないので、注意が必要です。