妻から夫へ年金を分割することも

「年金分割」は、「結婚していた期間の年金保険料は夫婦が共同で支払ったものとして受け取る権利を分割する」という考え方に基づいています。このため、共働き夫婦の場合は、お互いの報酬比例部分を合計して、その分け方を決めることになります。もし妻のほうが収入が多い場合には、妻から夫へ年金を分割することもあり得ます。

また、分割できるのは厚生年金と共済年金だけなので、たとえば夫が自営業で妻が会社員の場合だと、妻から夫へ年金を分割することになる可能性もあります。

そんなときは、あえて「年金分割」のことは口に出さないほうがいい!? 制度を理解していれば、そんな裏ワザだって使えるかもしれません。

「年金分割」は手間もかかるし、将来の年金なんてどうなるかわからない。それなら、今すぐもらえる財産分与や養育費をもらったほうがいい……そう考える人もいるでしょう。でも、約束したからといって、相手が本当に払ってくれるとは限りません。その点、「年金分割」は、いったん決まれば年金を受け取る権利が確定し、将来、必ずもらえるというメリットがあります。特に「3号分割」は、相手の合意なしで否応なしに2分の1をもらえるのだから、年金の少ない女性にとって価値が高いといえるでしょう。

離婚すれば、生活はすべて自分一人の肩にかかってきます。将来のため、安定収入は1円でも多く確保しておきたいですね。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。