上のポジションについたときのために
その経験は自分自身の「仕事」に対する向き合い方を、確かに変えたように思うんです。それまでの私は1つのサービスの立ち上げに合わせて、自分のスケジュールが決まっていく生活をしていました。例えば10月1日にサービスを開始すると言われれば、それに遅れないように一生懸命にモノを作る。良いモノを作ればお客さんは自ずと付いてきてくれる、と抽象的にしか考えていなかったんです。一方で経営陣は株主総会や決算発表に合わせて1年間のスケジュールが決まっていくので、数字を常に意識して働いているわけです。
その様子を間近で見たことで、今は自分の仕事がどれくらいのコストを使い、全社の中でどのような位置づけにあるのかを真剣に考えるようになりました。以前は「なんでこんなことするの」と思って納得し切れなくても、とりあえず言われたからやる、ということもありました。でも、仕事には1個1個に意味があるということが実体験として理解できたんですね。
いまこの部署でリーダーとして働きながら心がけているのは、その意識を持ち続けることです。私はもともと強く出世を望むタイプではありませんでした。でも、私が望むかどうかにかかわらず、企業の中にいる限り責任のある立場を任されることがあるかもしれません。それもまた、役員補佐の仕事を任されて初めて自覚したことでした。
グループリーダーとして働いてそろそろ1年。失敗もたくさんするので、将来を想像すると、自分にこれ以上の責任を担えるのかな、って不安になることがよくあります。でも、だからこそその日のために、能力を身に着けなければと、最近は特に強く思うようになってきたんです。
●手放せない仕事道具
作業着
●ストレス発散法
登山。ここ2、3年ハマっている。
●好きな言葉
明日は明日の風がふく
重田麻里(しげた・まり)
日本大学卒業、1993年第二電電株式会社入社。移動体技術部無線グループに配属、auエリア・基地局の開発・建設に関わる業務を15年間経験後、au端末企画部門へ異動し、未経験領域の業務を担当。その後役員補佐を1年間経て、現職に就く。
稲泉 連=構成 向井 渉=撮影