目の前の人に感謝される仕事をしたい

私は当時、大学を出て4年間勤めたNHK松山放送局のアナウンサーを辞め、こちらに引っ越して専業主婦をしていたんです。アナウンサーを辞めたのは、実際にやってみて自分には向いていないと感じたからでした。カメラの前に出るといつも緊張してしまうし、自分に自信がある同僚がいっぱいいる世界で、どうしても委縮してしまって――。今度はカメラの前の何万人ではなく、いままさに対面している人に「ありがとう」と言ってもらえるような仕事がしたいと思っていたんですね。

そこで、同じ時期に始まったロースクールに通って、弁護士を目指そうと勉強をしていました。でも、そんなときに長女を妊娠したので、まあ、自分の将来については子育てが一段落してから考えよう、と。私が友人から相談を受けたのは、そうして専業主婦を2年近くやっていた頃のことでした。

そんななか、ちょうど浦安市長選があり、候補者のビラの裏に半年後の統一地方選の公認候補の募集を見つけたんです。「そうか、これも人の助けになる仕事だな」と思って、履歴書を送ってみたことが立候補のきっかけでした。なので、選挙の際には、病児保育の問題を政策に書き、最初の質問にも入れ込みました。様々な議論がありましたが、結果的にまずは1カ所、大学病院の増床に合わせての病児保育所の開設が今は決まっています。

浦安市議会議員
岡野純子
(おかの・じゅんこ)
1978年、京都府生まれ。同志社大学文学部卒。NHK松山放送局に入社し、アナウンサーとしてニュースやリポートを担当。2011年、民主党公認で浦安市議会議員に初当選。2児の母。

稲泉 連=構成 向井 渉=撮影