相続は家族全員の話し合いが大切

自分と家族がどこでどう暮らすかは、人生を左右する大きな問題です。それを相続税対策だけで決めることはできません。

とはいえ、親の老後の面倒を誰がどう見るか、というのも避けて通れない問題。それに、たとえ相続税がかからなくても、親の財産をどう分けるかも大きな問題です。兄弟姉妹のうち誰か一人が自宅を相続すれば、ほかの人がもらう分はずっと少なくなるかもしれません。将来、ケンカにならないためには「親の面倒を見た人が自宅を相続する」といったことをあらかじめ家族で話し合い、全員が納得しておくことが必要です。そのうえで、親に正式な遺言書をつくってもらえばさらに安心といえるでしょう。

もし郁恵さんの兄が二世帯住宅の話を知らなければ、兄だって面白くないはず。もしかしたら兄は「いずれはマンションを売って親と一緒に住もう」と考えているかもしれません。たとえ悪気はなくても、勝手に話を進めるのは厳禁です。

結婚している女性なら、夫の両親の老後についても考える必要があるでしょう。マイホーム購入は、将来のことを考えるチャンスです。夫とも、実家の家族とも、十分に話し合ったうえで、わが家にとってベストの方法を検討しましょう。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。