小さな自宅の評価額は8割も下げられる

では、なぜ二世帯住宅が節税対策になるのでしょうか?

相続税では、小さめの自宅については大幅な優遇策があります。それが「小規模宅地等の特例」で、条件に合えば、自宅の土地について評価額を8割下げられるというもの(2014年まで240平方メートル以内、2015年以降は330平方メートル以内)。郁恵さんのケースでこの特例が使えれば、自宅の土地3000万円の評価額を2割の600万円に下げられます。その他の財産3000万円と合わせても3600万円となり、非課税枠の範囲内に納まるので相続税がかかりません。

自宅に「小規模宅地等の特例」を適用できるのは、大まかにいえば下の3つのうちどれかにあてはまる場合です。

<小規模宅地等の特例が使える条件>
条件1 亡くなった人の配偶者が相続する
条件2 亡くなった人と同じ建物で同居していた親族が相続する
条件3 亡くなった人に配偶者も同居していた相続人もいない場合に、亡くなる3年以内にその人またはその人の配偶者の所有する家に住んだことのない親族が相続する

もし郁恵さんの父が亡くなったとき、母が自宅を相続すれば条件1にあてはまります。つまり、このまま何もしなくても、母が相続すれば相続税はかからないということ。「な~んだ」と思うかも知れませんが、その後、母が亡くなったときには、やはり相続税の心配が出てきます。それを見越した対策が二世帯住宅なのです。

二世帯住宅は、条件2にあてはまります。自宅を二世帯住宅に建て替えて郁恵さんが住めば同居とみなされ、その家を郁恵さんが相続すれば特例が使えるので、相続税がかからなくなります。

同居といっても台所もお風呂も一緒ではお互い気をつかって大変ですが、同じ建物内で居住スペースが2つに分かれた二世帯住宅ならずっと快適。以前は同居とみなされる二世帯住宅の条件が厳しかったのですが、2014年からは玄関が別々で、中で行き来できないような建物でも認められるようになりました。このこともあって、最近は住宅メーカーも熱心に二世帯住宅をアピールしているようです。