ワーママも1つの流行

今回のテーマである「働きながら、結婚して、出産して、子育てしてという生き方」も、最近になって急に喧伝されているライフスタイルに過ぎません。単なる流行です。でも、現在を生きていると、ワーキングマザーは確かにカッコよく映ります。「すべての経験と財産を手にしている」印象が強いですよね。以前、僕もどこかで「専業主婦よりもワーキングマザーを目指すべきだ」という論調で文章を書いた記憶があります。

しかし、冷静になって考えてみると、独身・専業主婦・ワーキングマザー・シングルマザーといった区分に関わらず、自分なりに幸せに暮らすことが最も重要ですよね。というか、それに尽きると言ってもいいでしょう。

他人や社会への配慮も必要だとは思いますが、「子育てしていない、外で働いていない=社会の再生産に貢献していない、労働力になっていない」と決めつける必要はありません。いや、誰も決めつけてはいないのだけれど、ワーキングマザーをよしとする風潮に流されて自分で勝手に劣等感を持ってしまうのが現実だと思います。

ユニークで幸せな人生を!

どうすればいいのでしょうか。日本を脱出するのも手だけれど、それこそ誰にでも実践できることではありませんよね。脱出した先でも同じような比較をして孤独感に苦しむ気もします。

結局のところ、いま持っている知識を総動員して、アラフォーのど真ん中に体当たりで突入するしかないのだと思います。幸せそうな同世代と我が身を比べて、寂しくなったり悲しくなったりすることもあるでしょう。恥ずかしい行動をして、ボロボロに傷ついて座り込むこともあるかもしれません。

それでも何とか立ち上がり、歩くことを再開すると、体が軽くなった気持ちがするはずです。あれ、ちょっと前はあれこれ悩んでいたことがほとんど気にならなくなっている……。

アラフォーを力いっぱいに抜ければ、以前ほどは他人と自分を比較しなくなると僕は信じます(そう信じないと怖くてやってられません)。次は、老化や死といったよりリアルで個別の課題に悩むことになりそうですけどね。

ときには他人の言葉も借りながら、自分の体験を生きる知恵に昇華させていく。これさえ忘れなければ、ユニークで幸せな人生を全うできると僕は思います。しぶとく生きていきましょう。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/