「保育標準時間」と「保育短時間」の保育料
「保育標準時間」と「保育短時間」は基本の保育料も違っています。
中間的な所得階層の保育料を例にとると、国の上限額では次のとおり。なお、実際の保育料は、これを上限額として各自治体が設定します(月額)。
<市町村民税が年額169,000円以上301,000円未満の世帯の国基準保育料>
(1)「保育標準時間」 58,000円
(2)「保育短時間」 57,100円
2つの区分の差はたったの900円です。実際にかかるコストの差に比例して決められています。所得階層が低くなると、差はもっと小さくなります。
ここで気をつけなくてはならないのは、次に説明する「保育短時間」認定の場合の延長保育料です。
「保育短時間」が「保育標準時間」よりも高負担になる?
基本保育料は、確かに「保育短時間」のほうが少し安いのですが、この認定区分は1日8時間までの保育を前提にしたものであり、それを超えると延長保育料がかかることに注意しなくてはなりません。
認可保育園の延長保育料は、月ぎめの場合で2000円~4000円、1時間当たりの料金設定では400円~600円が多いのですが、「保育短時間」認定の家庭が月に2回延長保育を利用すると、基本保育料と延長保育料の合計が「保育標準時間」の基本保育料よりも高くなってしまいます。
また、「保育短時間」の1日8時間の時間帯は、各園ごとに決めることになっています。多くの園が「保育短時間は朝9時~夕方5時」というような設定をするでしょう。月の就労時間が120時間未満でも勤務時間が午後に偏っていてお迎えが夕方6時近くなるという人がいると、延長保育料がかさんでしまいます。自治体や園はこういったケースの対応に悩むでしょう。新制度の「自治体向けQ&A」では、経過措置として、就労時間が「保育短時間」認定にあたる場合でも保護者が希望すれば「保育標準時間」として認定してもさしつかえないと書かれています。経過措置ではすまないかもしれません。
就労時間帯が夕方にシフトしている人や、日によって保育時間が変動する可能性がある人は、あらかじめ市町村の窓口などで相談することをお勧めします。「保育標準時間」か「保育短時間」かは、「保育の必要性の認定」の審査のときに決まりますので、相談は申請前がよいでしょう。
ちなみに、月120時間という就労時間は、おおざっぱに計算して、だいたい年金の第3号の対象となれる限界「130万円のカベ」のあたりに相当します。