女性はルールの適用を免れることも
言葉遣いはもっと微妙なマナーです。例え話で解説します。ある男性と社内の非公式な飲み会で初めて会ったとします。彼は課長の僕よりも2歳年上の係長です。しかも中途社員なので社歴は僕のほうが上。敬語を使う必要はなさそうです。でも、年下のように接するのは気が引けます。彼とは畑違いなので、僕と同じ職場で働くことはこの先もないでしょう。2次会あたりで飲みが進んだ頃を見計らって、「ざっくばらんにいきませんか。これからはタメ口で話そう」と提案。それまでは僕のことを「大宮課長」と呼んでくれていた彼も賛同してくれました。
しかし! 楽しく話しているうちに彼は高校の先輩であり、僕の兄とクラスメイトであることが判明。「オレが1年のときの3年生なのか……」と思うと、またまた言葉遣いを微妙に修正せざるを得ません。
いかがでしょうか。働く女性が知っておいたほうがいい男社会のルールではありますが、このルールを女性が実践できるとも実践すべきだとも思いません。はっきり言って面倒くさいですし、女性や外国人の場合はこのルールの適用を免れるからです。ただし、まったく知らないと地雷を踏みかねません。「こいつはオレのことは『大宮さん』なのに同期の鈴木のことは『鈴木課長』と呼んでいる。オレをなめているのか」なんて恨まれたら大変ですからね。ルールを知らないふりをして、みんなを「さん」付けで呼びましょう。
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/