夫の受取額は妻より少ない

さて、美紀さん夫婦のケースで、夫が亡くなったとき、妻が亡くなったときの年金額をまとめてみよう(遺族厚生年金額はいずれも40万円とする。年金額は2016年4月以降)。

(1)夫が亡くなったとき
・美紀さんが遺族基礎年金121万7600円、遺族厚生年金40万円の計161万7600円(月あたり約13.5万円)を受け取る。ただし、上の子が高校を卒業すると遺族基礎年金が22万2400円(約1.9万円)減額になる。
・下の子が高校を卒業すると遺族基礎年金がなくなるが、代わりに中高齢の加算額57万9700円を受け取る(64歳まで)。合計額は97万9700円(月あたり約8.2万円)。

(2)美紀さんが亡くなったとき
・夫が遺族基礎年金121万7600円(月あたり約10.1万円)を受け取る(上の子が高校を卒業すると22万2400円減額)。同時に子が遺族厚生年金40万円(月あたり約3.3万円)を受け取る(下の子が高校卒業まで)。
・下の子が高校を卒業した後は、遺族基礎年金、遺族厚生年金とも受け取れなくなる。

共稼ぎ夫婦は妻の生命保険も大切

遺族年金は残された家族の生活の支えにはなるが、これだけで暮らしていくのは難しい金額だ。そこで、足りない額は生命保険で補うことになる。夫婦が2人で働いて家計を支えている場合には、夫も妻も生命保険に加入しておいたほうがいい。

子どもがいる夫も遺族基礎年金を受け取れるようになったとはいえ、会社員夫婦では夫の受取額のほうが少ない。夫婦が平等に家計を支えている場合には、むしろ妻の生命保険を重視したほうが安心ともいえそうだ。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。