年収850万円未満なら遺族年金を受け取れる
公的年金に加入している人が亡くなったときは、支給条件に合えば家族が遺族年金を受け取れる。国民年金に加入している人(自営業、専業主婦、学生など)が亡くなった場合、受け取れるのは「遺族基礎年金」。一方、厚生年金に加入している会社員が亡くなった場合に受け取れる遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類がある。
とはいえ、これらの遺族年金を受け取れる対象者は、かなり厳しく制限されている。まず、遺族基礎年金を受け取れる人は下のとおり。
<遺族基礎年金を受け取れる人>
・亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」。
ここでいう「子」とは、18歳まで(高校を卒業する年齢まで)の子のこと。対象年齢の子がいない場合は、遺族基礎年金を受け取れない。また、「生計を維持されていた」とみなされるには、「生計が同じで、受け取る人の年収850万円未満」が目安になる。そこで、年収が2人とも約400万円で、小さな子どもがいる美紀さんの家庭では、夫婦どちらが亡くなった場合にも遺族基礎年金を受け取れることになる。
気になる遺族基礎年金の額は下のとおり。
<遺族基礎年金の額(2016年4月以降)>
・77万2800円+子の加算
(子の加算……第1子、第2子は各22万2400円、第3子以降は各7万4100円)
美紀さんのケースでは、夫婦どちらが亡くなった場合でも遺族基礎年金の額は121万7600円(月あたり約10.1万円)だ。
この4月の制度改正前までは、遺族基礎年金を受け取れるのは「子のある配偶者」ではなく「子のある妻」に限定されていた。しかも、父親と同居している子には支給されない決まりがあったので、妻が亡くなっても夫はまったく遺族基礎年金を受け取れなかった。とはいえ、昔と違って、今は夫婦が共働きで生活を支える家庭が主流。これでは現状にそぐわない、ということで今回の改正が行われた。「遺族基礎年金、一歩前進!」といっていい。