40代で諦めの境地へ

ところが、40代にもなると、自然とそうした感情が薄らいでいくのを、知りました。それはきっと、「諦めの境地」なのでしょうね。

なぜって、40歳の私が、今更、どう奮起したって一流の称号を持つ人間になどなれませんし、子どもをバカスカ産むことも出来ません。

それに、40歳にもなると、大体、「上を上を」と、しゃちほこばってはいられないような状況が起きるんですね。

我が家の場合は、家族の病気という事態に遭遇しました。

すると、これまでは当たり前として享受してきた平凡な幸福(家族が毎日家に帰ってきて、食卓を囲むなど)がいかに幸福だったかを思い知らされるのですね。

それで、自然と、ああ私はなんと幸せだったのか。その上、なおも欲張った私はなんとがめつい人間なのかと気付かされるのです。

不幸とは己のエゴをおさえるなんと効く薬なのでしょうか。

結論。同僚の幸せを喜べない感情は――時が解決するはずです。

その日がくるまでは、とりあえず、その場で「よかったね~!」などと満面の笑みでも浮かべてみせて、お茶を濁せばいいのではないでしょうか。

佐藤留美
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。