このテクニックにはもう一つ、別の効果があります。
それは、マーケティングで言う【一貫性の原理】。
人は自分の行動や発言、態度、信念、価値観などに対し、つねに「一貫したものだ(ブレていない)」と考えたくなる。
この心理が予想以上に強いことを、近年、米国アリゾナ州立大学の名誉教授(心理マーケティング)、Robert B. Cialdini(ロバート・B・チャルディーニ)氏らが明らかにしました。
たとえば、誰か(仮にAさん)に“小さなお願い”をされて、「いいですよ」とやってあげる。その直後、「ありがとうございます!」と、Aさんに笑顔を見せられたとき。
やってあげたほうは、「いいことをしたな」と感じる。よほど嫌いな相手でなければ、「甘えられて嬉しい」「次はもう少し、大きなお願いを聞いてあげてもいいかな」と思うでしょう(【フット・イン・ザ・ドア】)。
また、人は自分の行ないが、のちのち失敗やマズイことだったとは思いたくない。
だから「私がやったことは、間違っていなかった」「Aさんがいい人だからこそ、私がやってあげたんだ」と、自分の行為やAさんのことを、ムリにでも美化、正当化しようとします(【一貫性の原理】)。
この手法で、「あの人はいい人だ」と思わせ、まんまと人を騙す詐欺師もいる。
でも実はこれが、恋愛・婚活の世界でも「異性に少しずつ“甘えられる”と、その人のことを好きになりやすい」と言われる所以です。