郊外の奥地にある「徒歩20分の新築マンション」

別の男性は36歳で、大卒、年収600万円だった。大学卒業後から同じ信用金庫に勤め続けている、真面目な人だ。彼は上司から「35歳までに住宅ローンを組まないとならない」と言われ、マンションを購入していた。

彼のマンションは、埼玉県と茨城県の県境近くにあった。つくばエクスプレスの沿線ではなく、最寄り駅までは急ぎ足で徒歩20分かかるという。

彼が買ったのは、80平方メートルを超える新築の3LDKだった。彼は、周辺は緑が豊かで、子育てにもよい環境だと話していた。

彼が重視した条件は二つあった。結婚後に4人家族でも住める広さと、自分が借りられる住宅ローンの範囲内で買える価格だ。彼はその条件に合う物件を探し、このマンションを選んだという。だが、自宅から都心までは1時間以上かかる。結婚相手が都心で働き、今の仕事を続けたいと思っていたら、長い通勤時間が負担になるかもしれない。

私は彼に、結婚後もこのマンションに住むつもりか、相手の通勤時間をどう考えているかを尋ねた。

彼は言葉を失った。相手の通勤までは考えたことがなかったという。彼は、自分の収入で無理なく返済できる家を買えば、婚活にも有利になると思っていた。だが、その家が相手の選択肢を狭めるかもしれない。そこまで想像できなかったのだ。

駅近でも相手が住みたいとは限らない

では、都内で駅に近いマンションなら、婚活で有利な資産になるのか。

たとえば、東京都世田谷区の経堂や、東京スカイツリーがある墨田区の押上に、マンションがあるとしよう。同じ都内でも、相手の実家や勤務先によって、暮らしやすさは変わる。千葉県の市川や船橋に実家がある人と、世田谷区に生活の基盤がある人とでは、希望する場所も違うだろう。

住宅街
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広さも重要だ。仮に、予算内で買えるのが50平方メートルほどの1LDKだったとする。二人暮らしにはよくても、子供を迎えれば手狭に感じるかもしれない。自分が育った場所や、なじみのある土地が、結婚相手にとっても住みたい場所とは限らないのだ。

実際に、上場企業で働く36歳の女性が、マンションを持つ男性と前向きに交際していた。彼女の勤務先は東京・丸の内。一方、男性のマンションは、彼の実家に近い八王子にあった。

彼女によれば、八王子のマンションから丸の内の勤務先までは、片道1時間半以上かかる。彼女は、結婚後も、妊娠・出産後も、福利厚生の整った今の職場で働き続けたいと考えていた。そのため、結婚後に彼のマンションへ移り住むのは現実的ではないと悩んでいた。