人づきあいの最低限のルール

ふだんから「時間を守ることは、人づきあいの上での最低のルールである」とも。常に相手を尊敬し、配慮を忘れず、楽しいことや幸福をシェアし続けた稀有な人。だれもが宇野千代という「愛のあるところ」に集まり、心やすらぎ、安心感に包まれたのです。

家庭画報編集部『人生は何歳からでも花開く 宇野千代の幸福語録』(世界文化社)
家庭画報編集部『人生は何歳からでも花開く 宇野千代の幸福語録』(世界文化社)

長寿を全うした千代は、弟や妹、元夫たちに先立たれましたが、最期まで孤独ではありませんでした。36年間秘書を務め、心を通わせた藤江淳子あつこをはじめ、70歳で設立した会社のスタッフたちを、千代は「家族」と呼び、大切にしました。

また、千代は若い頃から面倒見がよく、周囲の女性たちの幸福を自分のことのように喜ぶ温かさを持ち合わせていました。女性同士が競い合うのではなく、互いを尊重し、支え合い、喜びを分かち合うシスターフッドの精神が息づいていました。

華やかな恋愛遍歴が注目されがちですが、そんな女性たちの連帯が、肉親を失った後も千代の人生を豊かに彩り、晩年まで人とのつながりを育み続ける力になったのです。

相手は自分を映す鏡である

「男と女のことは五分五分である」と説いた千代。人と人同士の相互関係において、相手は自分を映す鏡である。しかし、自分とは別個の他者に対して、わかった気になってはいけない。このモットーを千代は生涯貫き、くり返し読者に語りかけました。

Q. 相手が受け入れてくれない

A.〈宇野千代の言葉〉
相手があなたを信じてくれない、と思うのは、あなたが相手を信じていないからなのです。

どんなに愛し合った恋人同士でも夫婦でも、相手には相手の領域というものがあります。この「他者領域」に敬意を払うことが、健全な人間関係を築くコツであると、千代は何度も綴りました。これは千代自身が経た数多くの苦い経験から生まれたモットーです。

Q. パートナーの浮気を疑っている

A.〈宇野千代の言葉〉
ヤキモチで気持ちがこんがらがって、整理がつかない。私が冗談に、「愛の交通整理」と名前をつけていることは、お互いに「一方通行」を守ることである。

Q. 相手の秘密を知ってしまった

A.〈宇野千代の言葉〉
せんさくしてよい結果が得られることはほとんどありません。傷口をひろげるだけです。傷口は突っつかないようにすることが肝腎かんじん。突っついている間は、傷はいつまでも生きているのです。

家庭画報編集部(かていがほうへんしゅうぶ)