加齢で“商品価値”が下がる事実

期限や人数を決めるというのは、要するに、問題を解くための前提条件を設定する作業なのだ。終わりを設定して初めて、人はまともに決められるようになる。

上條景介『なぜ出会いは増えたのに結婚できないのか マッチングアプリ創業者がデータで明かす、選ぶ技術・選ばれる技術』(光文社)
上條景介『なぜ出会いは増えたのに結婚できないのか マッチングアプリ創業者がデータで明かす、選ぶ技術・選ばれる技術』(光文社)

本書の第2章で先述した、永遠に次の候補を探し続けてしまう「青い鳥症候群」に陥らないためにも、極めて大事なプロセスである。

ここで、こう思った人もいるだろう。「区切ったら、その先にいるかもしれない運命の人を逃すんじゃないか」と。

気持ちはわかる。だが、それは違う。見送り続けて基準を上げすぎると、その基準を超える人が次に現れる保証はなく、結局誰も選べないまま終わるリスクのほうが高い。しかも、婚活においては、加齢とともに自分の商品価値が毀損きそんしていくという、抗あらがえない事実もある。

決めないことは、慎重なのではない。ただ、選ぶことを先延ばしにしているだけだ。そうして決めきれずにいるうちに、条件を上げるどころか、選択肢そのものが年々狭まっていく人を、僕はこの10年でたくさん見てきた。

結婚ピークは平均初婚年齢を下回る

最後に、参考となる数字を二つ提示しておきたい。日本の平均初婚年齢は、男性31歳、女性30歳。この数値を一つの基準にしている人も多いと思う。

ところが、厚生労働省の人口動態統計を見ると、2024年に初婚を迎えた人が最も多かった年齢は、男性27歳、女性26歳だ。平均が30歳前後まで上がっているのは、40代以降の初婚が全体を引き上げているからで、「一番多くの人が結婚する歳」は、実はもっと若い。

平均が30歳前後だからといって、30歳以降の結婚を目指していては、すでに旬の時期は過ぎているのだ(図表1)。

また、IBJ結婚みらい研究所の分析によると、婚活において10人を超えるお見合いしたとしても、成婚率に変化はないという。つまり、これ以上の人数に会うのは、時間の無駄になる可能性が高いことを示している。

もしあなたが初婚のピーク年齢を過ぎているなら、あるいは1〜2年のうちにその年齢を迎えようとしているなら、「いつか、いい人がいたら」という待ちの姿勢から、そろそろ抜け出したほうがいい。期限、もしくは人数を決め、自分の手でゲームの終わりを設定する。さもなければ、永遠にクリアできない未来が待ち構えている。

上條 景介(かみじょう・けいすけ)
マッチングアプリ事業家

東京農工大学工学部卒。在学中にブログ「がんばれ、生協の白石さん!」を開設し、書籍化された同作は発行部数約100万部を記録。2008年、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA社)に入社。ソーシャルゲーム事業の立ち上げに参画し、同社初のソーシャルゲーム『海賊トレジャー』をリリース。その後、カナダスタジオ立ち上げのためバンクーバーに赴任。2015年にDeNA社を退職し、株式会社Mrk&Coを共同創業、代表取締役に就任。北米でマッチングアプリが普及する一方で「マッチしても会えない」という課題を目の当たりにし、メッセージのやり取りを省いて飲食店でのデートを直接セッティングするアプリ「ダイン(現D3(ディースリー))」を開発。2016年に米国・カナダで正式リリースするとApp Store の「Best New Apps」に選出。2017年には日本でもリリースし、利用者を急速に伸ばした。2024年、Mrk&Co社の全株式を、「オリエンタルラウンジ」を運営する相席ラウンジ最大手の株式会社クラウドエヌに売却。2025年、同社の取締役に就任した。現在はマッチングアプリと相席ラウンジの双方の経営に携わる。