保守系組織が支えた皇室典範改正
影響が大きいのが、教育基本法の改正である。
保守派は、教育基本法はGHQによる占領政策の産物であると批判し、第1次安倍政権であった2006年には、教育目標に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」態度などを盛り込むことに成功した。これによって、「愛国心」が教育現場で強調されるようになったのである。
保守派が国民運動を成功へと導いたのは、運動を担う組織が存在したからである。戦没者の遺族の集まりである日本遺族会や、各地の商工会、そして、保守系の国民運動団体である「日本会議」がそれにあたる。
とくに日本会議は、神社界の総元締めである神社本庁をはじめ、伊勢神宮や保守的な姿勢を示す新宗教の教団が加盟している。現在の日本会議の会長は、安倍晋三元首相や麻生太郎氏のスピーチライターを務めた谷口智彦氏である。
保守派は、こうした組織を動員できる点で、なかなかにして手強い存在である。だからこそ、問題の多い皇室典範の改正が実現されたわけである。
SNSによる国民運動の成功事例
「愛子天皇」の実現を願う人たちが、こうした勢力に対抗し、自分たちの国民運動を成功に導くためには相当の努力が必要である。
ただ、幸いにして、今はネット社会である。SNSでの発信は、広範な世論を形成し、社会を動かすことに結びついていく。
実際、その種の国民運動の成功例もある。それは2020年のことである。第4次安倍政権の下で、検察庁法の改正が行われようとした。検事総長を除く検察官の定年を63歳から65歳に段階的に引き上げる一方、内閣や法務大臣の判断で、幹部が63歳以降も役職にとどまったり、定年後も最長3年間勤務を続けたりできる特例が盛り込まれた。
そのため、政府に都合のいい検察官だけがポストにとどまれるのではないかと反対の声が高まり、ハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」が膨大に拡散された。
こうしたSNSでの抗議が反対世論の広がりを後押しし、政府与党は成立を見送った。法案は会期末に審議未了で廃案となったのだ。このような事例がすでに生まれており、ネットを活用した新しい国民運動の可能性が広がっている。それは、十分に活用できる手立てなのである。