「出口」となる就職先まで開拓

加えて、大学側が「出口」となる企業開拓を泥臭く行っている点も見逃せません。

かつて理系採用の主要ルートだった「学校推薦」は自由応募の拡大とともに縮小傾向にあると言われますが、現在でも大企業の22%が理系採用で活用しています。大学の専攻と企業の人材需要を直接つなぐこのパイプラインを強固にするため、芝浦工大では新規企業の開拓を目的に積極的な企業訪問を実施。2025年度の学内企業懇談会には320社、約600人もの企業担当者が参加しました。

民間企業から大学への共同研究費が過去15年間で約3倍に増加する中、共同研究を通じて学生が企業の研究者や技術課題に直接触れ、そのまま就職につながるケースも増えています。大学側が「専門人材の育成」と「企業の開拓」を一体となって推し進めている証左と言えます。

「入ってからの伸び」に強み

難関大学の高い就職実績には、「もともと地頭が良くポテンシャルの高い学生を、入学段階の試験で選抜している」というスクリーニング効果が少なくありません。一方、芝浦工大の実績は、それとは質が異なります。

入学時の難易度は「偏差値」というわかりやすい指標で可視化されますが、入学した学生にどれだけの負荷をかけ、専門性を磨き、どこまで能力を伸ばしたかという「大学の育成力(付加価値)」は、偏差値表には載りません。

近年では、企業側も従来の偏差値ベースの採用から脱却しつつあります。日本経済新聞社と日経HRの2025年調査において、芝浦工大は「注目しており、ぜひ採用したい大学」で全国1位に輝きました。近年採用実績のない企業からも、今後採用したい大学として熱視線が注がれています。

芝浦工業大学豊洲キャンパス
芝浦工業大学豊洲キャンパス(写真=Waka77/CC-Zero/Wikimedia Commons)

「入学後に学生の力を伸ばし、社会へ送り出すこと」こそが大学の真の価値と定義すれば、私たちが囚われている大学序列の景色は少し違って見えてきます。芝浦工大は、入口の偏差値よりも「入ってからの伸び」に強みを持つ、就活市場における“隠れた強豪校”といえるのではないでしょうか。