大学序列が崩れる「特異な業種」とは
なかでも、一般的な大学序列とは違った顔ぶれが上位に食い込んでくるのが「大手メーカー」です。
トヨタ自動車やデンソーの採用実績では、名古屋大や名古屋工業大を筆頭に、岐阜大や静岡大など地元である東海圏の大学が上位に並びます。関西にある大手エアコンメーカーのダイキン工業では、大阪大や神戸大といった国立大に加え、同志社大、関西大、立命館大や京都工芸繊維大など、関西圏の国立大・私立大が幅広く顔を出しています。さらには、九州工業大や豊橋技術科学大といった、地方の単科理工系大学が全国区の知名度を誇る難関大を押しのけてランクインしていることも珍しくありません。
メーカーの採用では、全国一律の偏差値序列とは別に、工場や研究開発拠点の近くにある「地元で強い大学(地の利)」という軸が見えてきます。メーカーは地方にマザー工場を抱えることが多く、その周辺大学とは採用や共同研究を通じて継続的な接点を持ちやすいためです。
しかし、こうした「地方国立大の強さ」や「地の利」だけでは説明のつかない、特異な強さを発揮している大学があります。それが、東京都江東区に本部を置く芝浦工業大学です。
偏差値50台なのに、早稲田より就職に強い
ホンダ(本田技研工業)の採用実績を見ると、東京理科大を筆頭に、九州工業大や芝浦工業大など、理工系大学が上位に並びました。なかでも芝浦工業大からの就職者は23人にのぼり、トップ私大である早稲田大と同列の2位につけているのです。地方の強豪大学のように「特定の地元企業の城下町」という地の利があるわけではなく、早慶やMARCHがひしめく大激戦区の東京において、この実績は驚異的と言えます。
芝浦工大の入試難易度は、理工系私大の中で突出して高いわけではありません。難関理系私大の一角である東京理科大や豊田工業大よりもやや易しく、工学院大、東京電機大、東京都市大と合わせて「四工大」の一角をなします。一般的な模試の偏差値帯で言えば「50台」であり、決してトップエリート校という位置づけではありません。
しかし、2027年度の入試偏差値と、2026年春の「有名企業400社(※)」実就職率の関係で見ると、芝浦工大は同じ難易度帯から大きく上振れしています。
※大学通信社が日経平均採用銘柄や企業規模、学生からの人気などを基に選出した400社
その実就職率は旧帝大(阪大、名大など)や早稲田大を上回り、同じ理工系大学の中でも上位偏差値の東京理科大に迫る水準に達しているのです。



