計画が崩れるとモチベーションが下がる
みなさんにも覚えがあると思いますが、1日や2日の単位ならともかく、1カ月以上もの日数になると、時間感覚はかなりあいまいになりますよね。私たちには、遠い未来のことであるほどリスクや障害を具体的に想像できない傾向があるんです。そこに「楽観バイアス」が組み合わさったことで、計画の誤謬が起きてしまったわけです。
つまり、計画通りにいかないのは、「楽観バイアス」を持った脳の構造のせいなのです。決して努力不足でも、能力が足りないせいでもありません。
こう説明を受けて、「なんだ、じゃあ仕方がないな」と安心できるかと言うと、そんなことはありませんよね。
たいていの人は、たとえ仕方がないとわかっていても、実際に勉強や仕事が計画通りに進まない事態を前にすると、焦ったり落ち込んだりしてしまうものです。「なんで計画通りにできなかったんだ」と自分を責める人も出てきます。
しかも、こうしたネガティブな自責感情は、次第にモチベーションそのものを奪っていきます。行動しなければ、もう傷つかないで済むのですから。また落ち込むくらいなら、計画実行なんてしないほうがいい、と。
だから私は、細かく学習計画を考える必要はないと考えています。とくに「これから勉強を始めよう」という初期には、勉強のモチベーションを維持し、継続していくことのほうがずっと大切ですから。
たとえば、「3年後には英語でミーティングに参加する!」など、モチベーションになるような大まかな目標を持つのは大切なことだと思いますが、待ったをかけたいのは「月曜日には英文法のテキストを10ページやって、火曜日には1時間英単語の暗記をして……」といった、わざわざ時間を割いてつくる日々の細かなスケジュール設計です。
計画を立てるくらいならテキストを1ページこなせ
入念に計画を練ってそれだけで満足してしまうくらいなら、その時間を使ってテキストを1ページ解く。スケジュールの進捗を気にするよりも、目の前の1問に没頭する。そのほうが合理的で、確実に知識を増やす選択でしょう。
もちろん、すでに試験本番の日が決まっていて、勉強しなくてはならない範囲がはっきりしている段階であれば、試験までの日数を逆算して、大まかに学習計画を決めるのも良いと思います。ただし、「自分だけは計画通りに進められる」という思い込みを捨て、最初から「計画は遅れるものだ」という前提でスケジュールを設計しましょう。
たとえば、1週間風邪で寝込んだり、仕事でトラブルがあって3日間満足に勉強時間が確保できないといった最悪の状況を想定しておくのです。個人的な感覚としては、最悪のシナリオで組んだスケジュールに、さらに2割程度の余白を足しておくくらいでちょうど良いのではないかと思います。
「よし、やるぞ」と心に火がついた瞬間は、とにかくワクワクするものです。ただ、そのままの勢いで「まず計画を立てよう」と動き出すのには注意が必要です。せっかく芽生えたモチベーションを、自ら摘んでしまうことになりかねませんから。大切なのは、緻密な計画でも、計画通りの進捗でもなく、生まれたモチベーションを潰さず育てていくことです。
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