「親バカの声かけ」守るべき二つのポイント

次に、わが子に対する声かけで守るべきポイントを解説しましょう。

1.結果よりも努力、行為、過程にフォーカスして褒める

得てして親は、わが子がテストで高得点を取ったときや、何かができたときに褒める傾向があります。

しかし心理学では、結果よりも努力、行為、過程にフォーカスした褒め言葉のほうが、「正の行動」(好ましい行動)が増えるという研究結果が出ています。たとえば、子どもが計算問題に取り組んでいたら、「もう30分も椅子に座っているね!」など行為自体をたたえるのはOKですが、問題の正答率が高かったという結果を褒めることは、あまり効果が高くありません。

これを裏付けるのが、ハーバード大学のローランド・フライヤー教授が行った実験。「本を読む」「宿題を終える」といった「行為」にご褒美を与えたグループと、テストで良い点を取ったという「結果」にご褒美を与えたグループとで、子どもたちのやる気や学業の成績の伸びを比較したところ、努力に対して先生が褒めたグループのほうが効果の高いことがわかりました。

2.他者と比較しない。本人の過去との比較ならOK

「お姉ちゃんのように器用になるといいね」「お兄ちゃんは毎朝早起きして漢字の練習をしていたよ。あなたもがんばろう」といった、他者との比較もおすすめできません。その内容が結果であれ努力であれ、他者と比べてしまうこと自体、「自分は兄(姉)と比べてできない」と、自己肯定感が下がり、「兄(姉)のようにならないと認めてもらえない」と「プレッシャー」を感じる要因になるからです。

強い「プレッシャー」は子どものストレスになり、行動を回避させる要因になります。あくまでも1対1で、目の前の子の行動だけを見て声かけを。比較するなら、その子の過去と現在を比べましょう。「1年前のあなたは5分しか椅子に座っていられなかったのに、今では15分も座っていられる。成長したね」というように。

最後に、自分のかけた言葉がプラスの効果を生む「期待」として伝わっているのか、「負のプレッシャー」を与えているかの見極め方についてお話ししましょう。

最良の方法は、その後の子どもの行動の増減に注目することです。たとえば、「毎朝、計算問題をよくがんばっているね」と声かけした後、計算問題に取り組む時間が増えた、要は行動が増加したのであれば、その子にとってポジティブな声かけだったと判断できます。

一方、それまで自発的に取り組んでいた計算問題をパッタリやめてしまったのだとしたら、声かけがマズかった可能性があります。たとえば、「がんばっているね」とねぎらった直後に計算ミスを発見して、「またミスしたんだ」などとやる気をそぐような一言を加えてしまった、あるいは「やっぱりこれは難しいか」と本音がポロッと出てしまっていた、など。

また、言葉の内容自体は真にポジティブでも、その頻度が少ないと効果が出ないこともあります。親が絶えず褒め続けていると、子どものやる気は自然と上がるものです。

ただ、親は仕事に家事にと忙しいので、これはハードルが高いかもしれません。そこで、子どもが寝ている間に「とても丁寧に漢字を書いていたね」などと努力を肯定する言葉を紙に書いて、朝、子どもが座る食卓の上に置いておくなどはおすすめです。わが子のいとしい寝顔を見ていると親バカな言葉が自然とわき出てくるでしょう。

才能を伸ばす声かけ~心理学編~

※本稿は、『プレジデントFamily2026夏号』の一部を再編集したものです。