運動後にはたんぱく質、肉より魚がおすすめ
とはいえ、過度な運動を避けるがあまり、運動習慣を失ってしまっては元も子もありません。ですので、適度な運動をしつつ、運動後には水分はもちろん、適切な栄養素を摂取することで、筋肉量を高める習慣も身につけたいところです。
運動後の「高たんぱく糖質食」は高齢者に有効です。身体というのはよくできていて、体内のたんぱく質や糖質が不足すると、「筋肉」を分解してでも補おうとします。せっかく運動して筋力を増やそうとしているのに、逆に減ってしまっては意味がありません。とくに高齢者は、心身の活力が低下する「フレイル」を予防するためにも筋力を維持する必要がありますので、運動後には「高たんぱく糖質食」を意識的に摂取するようにしてください。
たんぱく質を多く含んだ食材としては、日本人に不足しがちなDHAやEPAも補える「魚」がおすすめです。たんぱく質を摂取するという点では「肉」も選択肢の1つになりますが、飽和脂肪酸を多く含んでいるため、気になる人は魚を積極的にとるとよいでしょう。私も大学の食堂では必ず魚定食を食べるようにしています。ただし、魚を食べる際は、塩分のとりすぎには注意してください。長野県も塩分を減らすプロジェクトを推進しているそうです。
「栄養素」は三食で均等に摂って
あわせて、活性酸素を抑えるためには「ビタミン」の摂取が有効です。中でも、「抗酸化ビタミン」と呼ばれているビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが豊富に含まれている野菜や果物を選ぶとよいでしょう。私がとくにおすすめするのは、日本人に不足しがちな葉酸もとれる「ほうれん草」や「小松菜」といった緑色の野菜です。あとは、たんぱく質もビタミンも含まれている「大豆」もおすすめですね。
歳を重ねることで栄養素の吸収、利用スピードは落ちていきますので、運動後だからといって大量の栄養素を一度に摂取することはおすすめできません(図表1)。日本人は一般的に、朝食、昼食が軽めで、夕食をしっかりととる食習慣をもっていることが多いのですが、高齢になるにつれ、夕食の比重を下げ、朝食、昼食、夕食を同じ量に近づけていくことが肝要になります。
フレイル予防、サルコペニア(筋肉量の減少や筋力の低下)予防のためには、洋食よりも日本食のほうがよいでしょう(図表2)。
長寿食としての「日本食」については、拙書『92歳、栄養学者。ただの長生きではありません!』(日本栄養大学出版部(旧・女子栄養大学出版部))でも解説していますが、日本食のデメリットである塩分のとり過ぎには気をつけつつ、図表3にあるような日本食を中心とした食習慣を続けたことが、私自身、94歳になる今も元気に働けている理由の1つだと考えています。