1兆円企業は「つくる側」移行する条件
販売規模が大きくなれば、製造機能を自ら持つ合理性も高まる。例えば総菜だ。各店舗で加工していた作業の一部を食品工場やプロセスセンターへ集約すれば、人手を減らしながら品質を安定させることができる
精肉や鮮魚でも同じだ。店舗ごとに専門技術者を配置するより、センターで加工した方が効率は良い場合もある。
PBも重要になる。メーカーの商品を仕入れて販売するだけでなく、原材料調達や製造段階まで関与すれば、コスト構造そのものに踏み込める。
同時に、他のスーパーにはない商品もつくれる。大量に「売る力」があるから、大量に「つくる力」を持つことができる。大量に仕入れるから、産地や海外から直接調達することも可能になる。大量に運ぶから、物流センターへの大規模投資も回収しやすくなる。
つまり、売る力が、仕入れる力、つくる力、運ぶ力を呼び込む。これが1兆円規模の意味である。
小売りとメーカーが融合する時代
食品スーパーの再編を見るとき、これまでは、「次にどのスーパーが買われるのか」が注目されてきた。しかし、これからはその問いだけでは不十分だ。
見るべきポイントは二つある。
一つは、「次に、どの優良ローカルスーパーが、どの陣営を選ぶのか」だ。文化堂やクックマートのように、元気なうちに大手グループへ参加する企業は今後さらに増える可能性がある。
そして、もう一つは、「その大手グループが、次に何の機能を買うのか」だ。食品工場なのか。プロセスセンターなのか。物流会社なのか。原材料調達機能なのか。スーパー再編は、単なる店舗数の争いではなくなる。
まず水平的M&Aで規模をつくる。その規模で調達力を高める。さらに製造、加工、物流へと川上を取り込む。
食品スーパー業界は、「どこに店を出すか」を競う時代から、「サプライチェーンのどこを押さえるか」を競う時代へ入り始めた。
大手にとっては、次にどのスーパーを買うかだけでなく、食品製造、加工、物流など、サプライチェーンのどの機能を取り込むかが問われる。一方、地域の中小・中堅スーパーには、「独立を続けるか」ではなく、「元気なうちにどの陣営を選ぶか」という判断が迫られる。
ライフによるアルビス買収は、その転換を象徴する出来事といえる。

