養親となる宮家に憶測が向かう構図
当主の年齢は常陸宮さま90歳、高円宮妃久子さま73歳、信子さま71歳、彬子さま44歳。一般国民だった男性を皇族として世に送り出す。そういう役目を担うには体力も気力も必要で、若い彬子さまが当主の三笠宮家が最有力。そう思う人がいても、不思議ではない。
加えて彬子さまは「男系男子派」という見方も広まっている。小泉政権下、女性・女系天皇を認める方向で皇室典範改正が議論されていた時、反対の論陣を張った寬仁さまを父に持つ。自身も2012年1月、毎日新聞で「女性宮家に特化した議論」への違和感を語った。
だが、別な宮家が養親になったら、問題はないだろうか。麻生氏とも、ベストセラーとも、「男系男子派」とも関係なくても、「なぜ養親に?」とあらゆる方向からの憶測が飛び交い、バッシングにつながる。火を見るより明らかだと思う。
要は国民の総意との乖離なのだ。皇族数確保のための議論のはずが皇位継承の議論になり、男系男子でつなぐために天皇陛下から36〜38親等離れているという旧宮家の男子を養子にする。女性・女系天皇を認める多くの国民の声をよそに、女性皇族は結婚したら住民基本台帳法の適用とする。配偶者と子の身分についての記載はないが、政府は「皇族にならない」と説明している。まるで働くためだけの準皇族。その不自然さへの違和感が、まずは彬子さまへのバッシングとなって表れた。
朝日新聞社は皇室典範改正の翌日、7月18日から2日間で世論調査を実施した。この法改正が国民の理解を得られていると思うかという問いに「得られている」は24%、「得られていない」が60%。今日の三笠宮家は、明日の他家だろう。誰が引き受けても、国民から痛くもない腹を探られる。そういう皇室が、皇室だろうか。
14年前の彬子さま「早く決めていただきたい」
ところで、2012年1月の毎日新聞だが、彬子さまは女性宮家についてまず「お国の決定に任せるしかないと思っています」と述べている。その上でそれだけの議論になっていることに「違和感があると申しますか」とし、旧皇族の復帰、宮家の養子による継承などに言及している。
「立場が定まらないと、ご結婚にも踏み切れない、ということはありますでしょうか」という質問には、自身は結婚後も公務をすることに抵抗はないが、相手の将来にも関わってくる問題なので、「決めるのであれば早く決めていただきたい」と答えている。彬子さま、当時30歳。これからの人生を思う1人の女性として、ごく真っ当な意見だ。
それから14年、女性皇族は宙ぶらりんなままだった。今回の皇室典範改正でも、いまの女性皇族は、結婚時に自分の意思で皇室を離れられることも決められている。皇族としての活動に意味を見いだしている女性皇族にとって、先述した「準皇族」のような扱いがうれしいはずがない。では、仕事が楽しいのに皇室の外に出る選択をするのか……。男系男子への固執は、女性皇族への失礼だと思う。