記憶能力に欠かせないビタミンB1
ビタミンB1(チアミン)は水溶性ビタミンです。ビタミンB1の欠乏症として運動障害を引き起こす脚気が有名です。脚気の症状はビタミンB1の補給により改善されます。
一方、重度のビタミンB1の欠乏症はウェルニッケ・コルサコフ症候群です。この主症状は記憶能力の低下です。この記憶障害はビタミンB1の補給によって改善されません。したがって、ビタミンB1欠乏の後遺症として記憶障害が残るといえます。
ビタミンB1欠乏や脚気はあまり聞かれなくなりましたが、アルコール依存症では体内のビタミンB1量が低下してウェルニッケ・コルサコフ症候群に陥りやすくなります。日本では100万人以上がアルコール依存症ですが、少なくともその数%はウェルニッケ・コルサコフ症候群による記憶障害を持つといわれています。
認知症の発症過程にもビタミンB1欠乏が関与しているのではないかともいわれています。
脳を疲れにくくする糖分とビタミンB1摂取
ビタミンB1はピルビン酸からアセチルCoAを生成するピルビン酸脱水素酵素、TCA回路のα-ケトグルタル酸脱水素酵素の補酵素として働きます。そこで、ビタミンB1欠乏により特にTCA回路の障害が導かれ、エネルギー産生ができなくなります。
脳の神経細胞は常にグルコースやケトン体の分解によるエネルギー産生を必要としているため、ビタミンB1欠乏は特に脳への障害を導きます。記憶の中枢である海馬はエネルギー不足の影響を受けやすく、ビタミンB1欠乏により海馬に神経変性が起こり、記憶能力に永続的な障害が生じます。
以上のように、記憶するにはグルコース(糖分)とビタミンB1が必要ですので、勉強(デスクワーク)する時には糖分とビタミンB1の両者を補給して、海馬が活動しやすく、また、脳を疲れにくくすることが、効率よく勉強するコツであるといえるでしょう。