「扶養のトク」か「キャリア」か

どう思いましたか?

「稼げるなら稼がせてあげればいいじゃない」
「伸びようとしているのに、ブレーキかけなくても」
「目先の扶養のトクより、夫の将来のキャリアのほうが大事でしょ」

そう感じた人、多いのではないでしょうか。

実はこれ、私の友人の話です。

個人事業をしているのは夫ではなく、私の女友だち。「扶養の範囲にしておいて」と言ったのは、彼女の夫でした。友人はもっと働きたかった。仕事が増えてきて、収入も伸ばせるタイミングだった。でも夫に言われて、仕事を抑えていたのです。

男女を逆にすると、違和感がはっきりわかりますね。

男性に向けられたら変に聞こえる言葉が、女性には普通に向けられてきたのです。

このエピソードは、もうひとつ大事なことを教えてくれます。

扶養という制度は、働き方を制限し、キャリアの芽を摘んでしまう制度だ、ということです。

男性が働き方を制限されたら「もったいない」「目先の扶養より、やりがいと将来が大事だろ」と思うのなら、女性も同じではないでしょうか。

2つの大きな「扶養」制度

扶養とひとことでいっても、制度は2つに分かれています。「税金の扶養」と、「社会保険の扶養」です。

【税金の扶養】

配偶者(たいていは妻)の年収が一定以下の場合に、扶養する側(たいていは夫)の税負担が軽くなる制度です(扶養する側の年収要件あり)。実際に安くなる金額は年間5万~11万円程度。

「え、それだけ?」と感じた方、正しい感覚です。思っていたより少ない、というのが多くの人の感想です。

2025年度の税制改正で、配偶者控除の対象となる妻の年収が103万円から123万円に引き上げられました。配偶者特別控除も含めれば、年収160万円までは満額の控除が受けられます。「税金の壁」は実質的にかなり広がったことになります。

【社会保険の扶養】

インパクトが大きいのは、こちらのほうです。「壁」と呼ばれてきたのは、おもに2つ。「106万円の壁」と「130万円の壁」です。

ただし、この「106万円の壁」は2026年10月で撤廃される予定です。撤廃の背景には、「もっと多くの人に社会保険料を払ってもらいたい」「自分の厚生年金を持ってもらいたい」という国の思惑があります(詳しく知りたい読者は本書を手に取ってみてください)。