根本的な解決策は一つしかない

どうしてこんな本末転倒な制度案になるのか。理由はハッキリしている。安定的な皇位継承を目指すという本来の課題から逃げ続けているからだ。

皇族数減少への目先だけの対策という脇道に逸れている。だから混乱を深める。シンプルに本道に戻ればよい。

ならば、皇位継承の安定化を図るためには、どうすべきか。側室不在の一夫一婦制で少子化なのに伝統でもない「男系男子」限定という、皇室典範が抱える構造的な欠陥を是正する。それ以外に方法はない。つまり、女性天皇・女系天皇を認めることしか、根本的な解決策はありえない。

多くの国民は女性天皇に賛成しているし、女系天皇への反対も少ない。何より天皇陛下、上皇陛下は、これまでのご本人の言動や関係者の発言から、男系・女系の区別より「国民と苦楽を共にする」在り方こそが真の「皇室の伝統」とお考えである、と拝察できる(平成17年[2005年]の天皇誕生日の記者会見など)。憲法の「皇位は世襲」という要請に照らしても、一夫一婦制なら男系男子限定ルールはむしろ悪質な阻害要因だ。

だから、次の世代の皇位継承資格者がたったお1方だけという、目の前の皇室の危機を打開するには、女性天皇・女系天皇を認めることが欠かせない。そこに踏み出せば直系優先によって次代は天皇陛下の第一子「愛子天皇」という結論になる。

「愛子天皇」の希望は失われない

今回の改正案には附則として次の条文が入っている(附則第6条)。

「その施行の状況を踏まえて所要の検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする」

すこぶる曖昧な規定だ。しかし、これによって内親王・女王方の配偶者やお子さまを改めて「皇族」に位置づけ直せる可能性も、ギリギリ残る。

また附帯決議として、「安定的な皇位継承を確保するための方策について、引き継き、検討すること」との文言が盛り込まれることが見込まれる。

もし政府・国会が本気で「検討」すれば、先の結論に行きつくほかない。それを後押しするのは世論の高まりであり、国民の熱意だろう。

もちろん楽観は許されない。しかし、今回の異常ともいうべき改正案が与党などの数の力でそのまま押し切られても、「愛子天皇」への希望は失われない。

高森 明勅(たかもり・あきのり)
神道学者、皇室研究者

1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。国学院大学講師。著書に『「女性天皇」の成立』『天皇「生前退位」の真実』『日本の10大天皇』『歴代天皇辞典』など。ホームページ「明快! 高森型録