「格子なき牢獄」への皇室典範改正

戦後、皇室のあり方が戦前とは大きく変わったことを踏まえ、昭和天皇の末弟である三笠宮崇仁たかひと親王は、著書のなかで、「それまでの不自然きわまる皇室制度――もしも率直に言わしていただけるなら、『格子なき牢獄』――から解放された」と書いていた。

三笠宮崇仁親王
三笠宮崇仁親王(1915~2016)(写真=Brazilian National Archives/PD Brazil Government/Wikimedia Commons

崇仁親王は学者肌で、戦後はその方面で大いに活躍することになるが、戦前は軍人として活動することを強いられ、しかも、その身分は秘密にされ、「若杉参謀」という偽名で任務に就いていた。

そうしたことを踏まえての発言だが、今回の皇室典範改正案は、皇室をふたたび「格子なき牢獄」に逆戻りさせるものではないだろうか。崇仁親王は満100歳で亡くなってしまったが、今も存命なら、そうした苦言を呈したことであろう。

「格子なき牢獄」を作ってまで、養子案を推し進めようとしているのは、すでに、すべてが準備されているからではないだろうか。「格子なき牢獄」が出来上がった後に、養子を募集しても、誰も応じるはずはない。

なんとも恐ろしい動きが、あまりにも拙速に進められている。

島田 裕巳(しまだ・ひろみ)
宗教学者、作家

放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。