ビジネスでも使える“期待を語る育児”

それは効きそうだ。そういえば最近、Kは「博士」にハマっている。

電車が好きな自分自身は「電車博士」、虫に夢中な友だちを「虫博士」、ウルトラマンばかり見る子を「ウルトラマン博士」と呼ぶ。

片付け博士K――そんなふうに声をかければ、機嫌よく片付けをしてくれそうだ。

「それは期待を語るという日本式の育児なんです」と秋田先生は言う。

日本ならではの“期待を語る育児”とはなんだろうか。

「まだ片付けていないのに、日本では「○○ちゃんは、きれいにできるもんね」といった言い方で片付けを促しますよね。あるいは、目の前でいたずらをしている子に『○○ちゃんは悪いことをしない、いい子だってわかっているよ』という場合もある。海外の人は、なぜ悪いことをしているのに叱らないのだろうと不思議に思うそうです。

日本では、昔から子どもに期待を伝えて、やる気を促したり、いたずらを止めようとしたりしているわけです」

それはビジネスにも通じる気がする。“期待を語るリーダーシップ”として、管理職の仕事に応用できないだろうか。

恐怖を動機にするのはNG

駆け出しの頃、ベテランの編集者に「お前ならできるはずだ」と取材現場に送り出されたとき、単純な私は高揚した。人は期待されたし、期待に応えたい。うまくいけば、整理整頓をしない同僚が片付けをするモチベーションを引き出せるかもしれない。

オフィスで打ち合わせをする上司と部下
写真=iStock.com/AscentXmedia
※写真はイメージです

気をつけたいのが、恐怖を感じさせる言葉だと秋田先生は指摘する。

「片付けに限らず、子どもにはポジティブな言葉をかけることが重要です。いくら言っても片付けない子どもに母親が『もう知らない!』と言ったとします。子どもとしては母親との関係を維持したいから、片付けをするかもしれません。ただし、恐怖が動機では、片付けの喜びや達成感、意義は見いだせません」

恐怖か、期待か。考えなくたって、期待がいいに決まっている。

私は、生活習慣が親から子へと継承される可能性をはじめて自覚した。

Kのなかで「基準」が確立される前に、かつて手がけた記事を引っ張り出して、「仕事ができる整理術」を試してみるか。