家の中に本がたくさんあると、読書好きの子が育ちます
小学校に入ると、学校での勉強が始まることもあり、「読める」「読めない」を評価してしまうようになりがちです。でも私は、この時期こそ読書を成績や成果と結びつけすぎないでほしいと思っています。
特に低学年の子どもは、文字を追うだけでも、まだまだ精いっぱい。内容を深く理解できていなかったとしても、それは自然なこと。「ちゃんと読めているの?」と確認されると、読書を負担に感じてしまうかもしれません。
この時期に大切なのは、最後まで読めるかどうかではなく、「また読みたい」と思えるかどうかです。同じ本を何度も読む、途中まで読んでやめる、好きな場面だけを繰り返す――どれも、本と良い関係を築いている証しです。
本の中の出来事を、自分の体験と結びつけて話し始めたら、正解を教える必要はありません。「そう思ったんだね」と受け止めてください。
『どうぶつ句会』
動物たちが詠む俳句は、迷作、駄作から、うーんとうならされる秀作、名句までさまざま。でも、どれもその動物ならではの作品。俳句は音数の制限と季語必須というルールの中で、物事を何かに例えて表現したり、リズムや韻を工夫したりする、言葉遊びの側面も。思わず一句ひねりたくなる。
『くまのパディントン』
ある日突然、ロンドンにやってきた、とても礼儀正しいくまのパディントン。いくつもの小さな事件に巻き込まれながら、街の人気者に。くまなのに人間の言葉を話し、人間社会の中で人間と同じようにふるまうことを誰も不思議と思わない。
『ドリトル先生アフリカゆき』
『ピーターラビットのおはなし』を訳し、『ノンちゃん 雲に乗る』を書いた石井桃子の下訳をもとに井伏鱒二が紡いだ言葉は美しく、一文一文を味わうよろこびを教えてくれる。最近では使われる機会が減った言葉に出合えるのも、子どもの表現力の広がりにつながる。
『シートン動物記1』
登場人物が動物の気持ちや思いを想像することはあっても、動物が人間の言葉を話したり、心情が直接描かれたりすることはない。描かれている動物の行動やしぐさなどから「どんな気持ちなんだろう」と考えながら読み進めることで、想像しながら読む力が育つ。
『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』
ワクワクするストーリーと共に、ちりばめられたダジャレや言葉遊びが子どもの心を引き付ける。ゾロリのシリーズを何冊も読んでいく中で、子どもは文字情報をもとに登場人物たちのディテールを自分の中につくり上げていき、抽象概念の形成にも役立つ。
※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。






