体験したことがあれば、類似の状況に対応できる
今の子どもたちは、情報にはとても恵まれています。インターネットを使えば、何でも「知る」ことができる時代です。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
たとえば、「火は熱い」「水は冷たい」ということは、多くの子が知っています。でも、それを本当に理解しているかどうかは、実際に触れた経験があるかどうかで大きく変わります。一度熱い思いをした子どもは、火に近づくときにとても用心しますが、「火は熱い」という知識しか持たない子どもは、危険なほど無防備です。
実体験が乏しいまま育つと、言葉と感覚が結びつきません。表面的な情報は増えても、「だからこうなる」という因果関係が見えにくくなります。頭の中だけで完結する学びでは、論理の芯は育ちません。論理とは本来、経験の積み重ねの上に生まれるものなのです。「言葉に合わせたり、障害物の動きに応じたりしてジャンプ」「不安定な場所を歩く」などの何げない行動も、体験したことがあれば、類似の状況に直面したときに「過去の体験を基に対処する」という論理的な対応が可能になります。
あんたがたどこさ 〜育つ力:理解力、判断力、空間認知能力
「あんたがたどこさ」の歌に合わせて、左、右、左と左右にジャンプし、「さ」のタイミングだけ前に跳ぶ。その後、再び左右に跳びながら進んでいく遊びです。歌いながら体を動かし、決まったリズムと動きを守るのがルールになります。
歌の流れを聞き取りながら、「次はどちらに跳ぶか」「今は前に跳ぶ場面か」を瞬時に判断する必要があります。リズムに合わせて体を動かしつつ、特定の合図で動きを切り替えることで、理解力と判断力が同時に働きます。
動きと音を結びつけて考える経験を重ねることで、思考の柔軟さや空間認知の基礎が育まれます。「あんたがたどこさ」は本来、まりつき歌。まりつきはもちろん、お手玉遊びにアレンジすれば、小学生でも楽しむことができます。
橋歩き 〜育つ力:バランス感覚、体のコントロール
親の足を一本の橋に見立て、その上を子どもが歩く。最初は両手をつないで進み、慣れてきたら片手、最後は手の補助なしで挑戦します。
不安定な足の上でバランスを取りながら進むため、「どう足を運べば安定するか」を考え続ける必要があります。体の傾きや足裏の感覚を頼りに動きを調整することで、バランス感覚や体をコントロールする力が育まれます。
また、親の体を使って遊び、渡りきったら、親と抱き合うなど、スキンシップを取り入れることで、安心感を得ることができます。
体を使った遊びは交感神経を刺激するものが多いですが、親とのスキンシップは体をリラックスさせる副交感神経を刺激するため、自律神経の働きを整えます。心身を落ち着かせる働きも促されます。
へびなわ 〜育つ力:判断力、論理的に動きを組み立てる力
大人がなわ跳びのなわを持ち、地面近くで上下にニョロニョロと動かします。子どもは、そのなわを踏まないようにタイミングを見て跳び越えます。高さや速さを調整しながらなわを動かすことで、さまざまな年齢、発達段階の子どもが遊ぶことができます。
動いているなわを跳ぶためには、高さや位置を目で捉え、「今なら跳べるか」を判断する力が必要。なわの動きを予測し、タイミングを合わせて体を動かす経験を重ねることで、なわ跳びにつながる基礎的な感覚が育ち、論理的に動きを組み立てる力の土台も養われます。
小学生になってなわ跳びができずに家で猛特訓となり、親子関係がギクシャクすることも。小さいうちに基礎を培っておきたいですね。
※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。




