幼少期の家庭が基準になる
え? ということは、Kも片付けられない大人になってしまうのだろうか……。
秋田先生らがベネッセ教育研究所と行ったのが、「幼児期から中学生の家庭教育調査・縦断調査」だ。2012年に年少だった子どもたちを中学卒業時まで追跡する長期調査である。
2023年の報告が興味深い。
〈ルールを守りながら遊べる〉〈好き嫌いなく食事ができる〉などの生活習慣は、年齢が上がるにつれ、〈とてもあてはまる〉〈まああてはまる〉の比率は上がっていく。一方で〈家で遊んだ後、片付けができない〉は年齢による変化が見られない。
“幼少期に片付けられない子は、成長しても片付けられない”
この調査結果をどう受け止めたらいいのか。
「『汚い』『散らかっている』という基準は、人によって異なります。職場が乱雑でも平気な人もいれば、許せない人もいます。現実に、ここまでが散らかっていて、ここからはきれいという線引きはありませんよね。善し悪しではなく、それぞれの基準は幼少期の家庭のスタイルが反映されます。だからこそ、幼少期に片付ける習慣をつけるのが、重要なんです」
片付けが得意になるコツ
具体的にどんな解決方法があるのだろうか。答えを急ぐ私に秋田先生は丁寧に説明してくれた。
「片付けが得意になるコツは、片付けが楽しいと思えるようにしてあげること。外出のときに『早く靴を履きなさい』と言うよりも『どっちの靴を履いて出かけようか?』と声をかけた方が子どもは早く準備をしてくれます。それは子どもが自分で選択して靴を履いているからです。片付けもそれと同じです」
保育園や幼稚園では「こっちは先生がやっておくから、みんなはこっちを片付けてくれる」と一緒に片付けを行ったり、「いまから給食だから、時計の針が30のところまでに片付けよう」と声をかけたりして子どもたちが自分から片付けるように育てていくという。
「片付けの習慣のきっかけになるのが、親や大人と一緒にやる協力や共働です。
たとえば、大人が散らばったおもちゃを集めて、最後に子どもにケースに入れてもらうのもいいでしょうし、『よーいドンで、いくつ片付けられるかな』と片付けを遊びに変えてしまう手もあります。『お父さんの片付け手伝って』と洗濯物などを取り込むのを手伝ってもらうのもいいでしょう。
自分が片付けのお手伝いをした満足感が生まれますから。ちゃんとできたら、褒めたり、認めてあげたりする。『片付け名人』なんて褒めてあげるのもいいですね」



