愛子さまの配偶者や子を“区別”するのか

女性皇族の結婚後の身分保持については認められたものの、ずっと議論になってきた配偶者や子どもを皇族とするか否かについて、今回の「立法府の総意」では完全に棚上げされている。政党の間で意見の対立があったからだが、先送りするというのはひどく無責任に思える。

もし愛子内親王が結婚したとしたら、天皇や皇后は、配偶者の男性を歓迎し、変わらない付き合いをすることだろう。そこに生まれた子どもに対しても同様である。それも、現在の天皇と皇后が国民との間に隔たりを感じていないからで、それがそのまま愛子内親王の配偶者や子どもとの関係に表れるはずである。

そうなれば国民も、愛子内親王の配偶者や子どもが皇族となることに違和感を持つことはないであろう。その点では、皇族の地位を与えるかどうかの問題は、その時点で自然に解決するのである。

生後3カ月頃の愛子内親王殿下(2002年)
生後3カ月頃の愛子内親王殿下(2002年)(写真=在チェコ日本国大使館/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

国民が求める「天皇家の皇位継承」

朝日新聞の世論調査で示されたように、国民が、女性天皇を容認し、それ以上に女系天皇を認めようとするのは、天皇家に育ってきた愛子内親王の系統で皇位が継承されることが期待されているからである。

そうした期待は、天皇も十分に理解しており、賛同もしている。だからこそ、これまで指摘してきたように、愛子内親王を天皇一家の中心に据える方針を、今年になって鮮明にしているのである。

天皇は、その立場上、自らの意見を直接表明することができない。

だが、それは意見を持っていないことを意味しない。むしろ、これからの皇室がどのようになっていけばいいのか、明確な考えを持っているはずだ。

それを国民にも伝えたい。その意思もあることだろう。今回の「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」という言葉の背後に何があるのか。それを読み取るのは、今度は、国民の側の務めである。

秋篠宮家のほうも、秋篠宮自身天皇に即位するつもりはないと言い、秋篠宮家を残したいと言っているわけだから、悠仁親王が秋篠宮家の当主となり、愛子天皇を支えればいい、そのほうが好ましいと思っているのではないだろうか。

今や、天皇や皇族と国民との間に考え方のずれはない。ずれているのは、政治家だけである。

島田 裕巳(しまだ・ひろみ)
宗教学者、作家

放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。