日米比較で見えてきた事実

ここまで読むと、こう疑いたくなる人もいるでしょう。

「でも、B型の人には本当に何か性格的特徴があるのでは?」

実際、日本では長年にわたり、「B型は自己中心的」「マイペース」「協調性に欠ける」といったイメージが繰り返し語られてきました。

しかし、小泉氏はこの疑問に対して、非常に興味深い検証を行っています。

それが、「血液型性格診断」がほとんど存在しないアメリカとの比較です。もし本当に血液型そのものに性格差があり、それが人生へ影響するのであれば、日本以外でも同じ現象が起きるはずです。

ところが、アメリカのデータを用いて分析すると、日本で見られたような差は確認されませんでした。

日本とアメリカの国旗
写真=iStock.com/Oleksii Liskonih
※写真はイメージです

これは極めて重要な結果です。なぜなら、「原因は血液型そのものではない」ことを強く示しているからです。

つまり、日本でB型男性が直面している不利益は、生まれつきの性格ではなく、日本社会が長年作り上げてきた「イメージ」によって生じている可能性が高いのです。

「根拠なき偏見」が持つ影響力

改めて言いますが、血液型性格診断に、科学的根拠はありません。

それにもかかわらず、日本では長年にわたり、「B型は自己中心的」「A型は真面目」といったイメージがテレビや雑誌を通じて広まり、多くの人々に共有されてきました。

そして今回の研究は、その「ただの娯楽」が恋愛や就職、年収といった現実の人生にまで影響している可能性を示しています。

重要なのは、「本当にそうか」ではありません。

「みんながそう信じている」だけで、人々の評価や行動は変わってしまうのです。

その結果、根拠のないイメージが結婚率や収入、キャリアの差として表れてしまう。血液型性格診断は、社会に広がった「思い込み」がどれほど強い影響力を持ち得るのかを示していると言えるでしょう。

〈参考文献〉
(*1) 佐藤達哉・渡邊芳之(1992)「現代の血液型性格判断ブームとその心理学的研究」『心理学評論』, 35, 234-268.
(*2) Koizumi, H. (2025) Quantifying Social Construction: Evidence from blood type discrimination in Japan, RIETI Discussion Paper Series 25-E-017

佐藤 一磨(さとう・かずま)
拓殖大学政経学部教授

1982年生まれ。慶応義塾大学商学部、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は労働経済学・家族の経済学。近年の主な研究成果として、(1)Relationship between marital status and body mass index in Japan. Rev Econ Household (2020). (2)Unhappy and Happy Obesity: A Comparative Study on the United States and China. J Happiness Stud 22, 1259–1285 (2021)、(3)Does marriage improve subjective health in Japan?. JER 71, 247–286 (2020)がある。