「外交の華」として継承される盆栽
何より盆栽は「外交の華」とも言えるもので、迎賓館や宮殿で海外の賓客を迎える際には、皇室に伝わる「五葉松」が飾られることになる。それは、徳川幕府の三代将軍家光遺愛のもので、樹齢550年に達している。
皇居のなか、吹上御苑近くには「大道庭園」がある。そこでは、宮内庁庭園課の職員が、五葉松をはじめ各種の盆栽の手入れに勤しんでいる。
大道庭園にある盆栽は約90種、約500点におよぶとされ、樹齢数百年の大型盆栽が多い。これは明治以来の伝統で、皇室に献上された盆栽が、現在のコレクションの基礎になっている。
明治天皇も盆栽を慈しんだことで知られるが、昭和天皇は植物学者でもあったことから、深い造詣を持っていた。
今上天皇も盆栽には中学の頃から強い関心を持っており、そのために学友から「じい」というあだ名をつけられたというエピソードもある。
天皇一家は、2024年には、第98回と記念の年でもないのに国風盆栽展を訪れている。そこには、天皇の関心が中学以来持続していることがうかがえるが、その関心はしっかりと愛子内親王にも受け継がれているのだ。
「古葉」について訊ねられた愛子さま
今年の国風盆栽展で一家の案内をしたのは、協会の参事である葉坂勝氏である。愛子内親王は葉坂氏が育てた五葉松の前で、「自然界では古葉はひとりでに落ちますが、盆栽は肥料を使うから古葉も落ちにくいですよね」という質問を発したという。
盆栽のことについてまったく何も知らない私などには、この質問の意味自体がわからないが、それは葉坂氏を驚嘆させたというのだ。古葉とは、一年以上経過した古い葉のことを言うらしい。秋から冬にかけて、そうした葉を取り除くことが重要な作業になっている。
愛子内親王は、古葉の手入れが難しいのを理解した上で、「葉は毎年新しくなりますが、古葉はどのように手入れをされているのですか」という質問を続けた。葉坂氏は、内親王から「きれいな盆栽ですが、古葉がついてますよ」と指摘されているようで、ドキッとしたという(『週刊新潮』4月16日号)。
そんな質問がさらりとできるということは、愛子内親王が、父親の天皇に負けず劣らず盆栽に造詣が深いということを意味している。天皇の薫陶が行き届いているわけだが、本人に関心がなければ、そうした知識は身につかない。
愛子内親王のこうした姿勢は、現在の状況のなかで極めて重要な意味を持つようになっている。